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展示会レポート東北復興水産加工品展示商談会2019 プレゼンレポート

東北復興水産加工品展示商談会2019 プレゼンレポート

会場内のプレゼンステージで行われたプレゼンについて少しずつですがご紹介いたします。

プレゼンレポート①共和水産株式会社「“三陸の当り前をステージに” “三陸の当り前を誇りに”」

登壇したのは、「イカ王子」こと共和水産株式会社の代表取締役専務である鈴木さん。震災後の2011年から始めた企業ブログで「イカ王子」を名乗り始め、6年前からは地元の水産業、印刷業、デザイン会社の異業種で連携して「三陸王国イカ王子」という三陸の水産を盛り上げるプロジェクトを立ち上げます。

2年前にイカが不漁となり相場が高騰。その結果、地元で消費されることなく、地域外流通が増加しました。このままではいけないと「地元で水揚げされたものを地域で消費する」をコンセプトに、地域性のある商品を「三陸王国イカ王子」で製造することにしました。

代表取締役専務兼営業部長 鈴木氏

そのなかで目を付けたのが、6年連続日本一の水揚げにもかかわらず活用されていなかった宮古の「真鱈」。これを地元で骨とり、切身加工、パン粉付けし、ワンフローズンの「王子の贅沢、至福のタラフライ」として商品化しました。

昨年9月テレビでサンドイッチマンが「イカ王子のタラフライ」を推薦したお陰もあり、現在インターネット販売が2か月待ちの人気商品となっています。

揚げるだけの状態になっているため、店舗でも取り入れてもらいやすく、現在、岩手県盛岡市のソールフードである福田パンでは「タラフライサンド」、また、大戸屋の一部店舗では「さっくりマダラのフライ定食」としてコラボメニューが販売されたそう。今年の8月には隣町の釜石市で行われるラクビーワールドカップでもタラフライを使ったフィッシュ&チップスを販売予定とのこと。

福田パンとコラボしたタラフライサンド

「産地の強みは海がすぐそばにあり新鮮な魚があることですが、意外にその地域にそれらを食べられる場所が無く、うまい三陸の食は、なかなか表に出ていません。“三陸の当たり前”を商品化して各家庭の食卓へ届けることが地域の良さを伝える一番の近道だと考えます。」とのことでした。

プレゼンレポート②株式会社バンザイファクトリー「アルギン酸を含むわかめの太茎のブランド商品化」

震災後の2018年8月から食品工場を始めたバンザイファクトリー。最初に製造したものは、震災時に津波をかぶっても強く生き残った「椿」を使ったお茶でした。
この椿茶は、甘いのにノンシュガー、ノンカロリー、ノンカフェイン。これを使えば甘いのに砂糖を使っていない健康的な加工品が出来るかもしれないと考え、食品加工に利用できるよう5年半の歳月をかけて「三陸椿茶の製法」を開発しました。

この製法を新たなブランド商品を作る際に活用できないかと模索している中、三陸で国産品シェア7割を占める「わかめ」に出会います。そして「わかめ」の太茎部分は、硬い・美味しくない・重く扱いづらいという理由でほぼ未利用となっていることを知り、何かできないかと考えました。

代表取締役 髙橋氏

その際、「わかめ」の太茎には血圧抑制の効果があるとされる「アルギン酸」という特徴的な栄養価があり、この成分を逃がさないようにすることも商品づくりにおいての条件の一つとなりました。

試行錯誤の末、2018年夏に「三陸わかめの大黒柱」が完成。あまじょっぱくて、歯ごたえを残しながらも柔らかい、アルギン酸を5%(100g当たり)含む健康志向商品で、常温で6か月以上日持ちします。そのままおつまみとして、また、ご飯のお供やお酒のお供にしてもよく、塩分や糖分など添加物を気にする方にはピッタリの商品とのことです。

発売から1年が経過し、さまざまな展示会、商談会でよい評価をいただいているそうで、今後は流通に向けたパッケージを模索していくとのことでした。

三陸わかめの大黒柱

プレゼンレポート③株式会社シーフーズあかま「海藻アカモクと塩釜地名由来しおがまの藻塩」

塩釜にある株式会社シーフーズあかまは、戦後、海苔養殖、昆布養殖を生業として始まり、現在も水産加工とあわせて漁業を行っております。主製品はわかめ、メカブなどの海藻類で、特にアカモクに力を入れています。

アカモクはで、主に抗酸化作用、食物繊維が豊富であり整腸作用や抗ウィルス作用(風邪をひきにくくなる)等、機能性食品として近年話題の海藻です。しかしながら、全国的な認知度は高くないため、まずはアカモクを食べて頂くことをコンセプトに「地域横断アカモクプロジェクト」を立ち上ました。

代表取締役 赤間氏

最初にレシピ開発に力を注ぎ、インターンの大学生と協力し、100個ものレシピが誕生しました。
パッケージも手に取りやすいよう女性向けのデザインにしています。

アカモクのパッケージ女子大生と考案したレシピ

また、アカモクを使用した藻塩も製造。これは無香料・無着色で、海水・アカモク・東北の食材以外は一切使用せず、自然の恵みだけで仕上げています。松島湾の青のり、田子のにんにく、蔵王のゆず・バジル、大河原の梅しそ、気仙沼のくわ茶など、東北自慢の地場食材とコラボし、おいしさの可能性を広げています。

東北の食材とコラボした藻塩の数々

プレゼンレポート④本田水産株式会社「本田水産株式会社の今後の展開について」

本田水産株式会社は牡蠣とホヤを主力として扱っている会社です。
以前は、ホヤを韓国に輸出していましたが、震災以降、禁輸措置が敷かれているため、8年たった現在でもその販路に苦戦しており、このような展示会でぜひホヤを多くの人に知って、実際に食べていただき認知度を上げていきたいとのこと。

牡蠣については、浜市ブランドとして取り組んできましたが、昨年の水揚げは、さまざまな影響により3/4減少し、1/4程度しか生産できなかったそうです。

代表取締役 本田氏

水産加工もですが、漁業も人手不足が深刻です。ウニを獲る人が少なくなってしまったため、その資源量は増加しています。ウニが増えると海藻を食べてしまうので、海藻不足となり、なかなか良いものが採れなくなってきています。

今年は、ウニ自体はいいものが揚がっているので、浜の生物の生育環境のバランスを崩さないよう資源保護をしながらの漁獲を続けることが大切です。

漁業と水産加工業は車の両輪。どちらかがダメになると止まってしまいます。
「これからも浜と一緒にモノを作りながら、良いものを加工していきたい」とのことでした。

本田水産の商品の数々

プレゼンレポート⑤株式会社海祥「宮城の新名物 最北限のしらす」

株式会社海祥は、宮城県名取市閖上に工場があり、しらす・ちりめん・小女子などの小魚、海草、小エビなどを加工・販売しています。

震災後、海域の環境が変化し獲れるものが変わってきており、これまで福島県沖が北限とされていた「しらす漁」ですが、宮城県内の海域は水温が高く、2017年7月より閖上港を含む仙南地区(閖上、亘理、山元)でも「しらす漁」が解禁となりました。同地区では赤貝やホッキ貝に代わる特産品として「北限のしらす」をブランド化しています。
水揚げの状況を見ても、宮城県はH30で30t程増加、本年度は船も7隻→8隻に増えたという事もあり、更なる水揚げ増が期待できますとのこと。

営業企画部課長 地主氏

株式会社海祥では「北限のしらす」を「閖上産生しらす」と「宮城県産釜揚げしらす」に商品化。
昨年は、旅館業、外食、中食、学校給食に多数採用されたとのこと。人気の秘密は、目の前の海で獲れた新鮮な原料の徹底した異物選別と、原料のおいしさを損ねない菌数制御の技術にあります。

色で異物を検出し排除する色彩選別機に加え、ベテラン社員による目視選別で何重もの対策を施します。また、独自の真空加熱殺菌機を用いた菌数コントロールを行うことにより、PH調整剤を一切使わず、味や風味をそのまま活かした状態で、常温販売にも対応可能な「しらす製品」を作っています。

「宮城での新たな特産品であるしらすをPRすることで、5年後、10年後には、宮城県でしらすを食べにくるお客様でいっぱいになるよう頑張りたい」とのことでした。

しらす製品の数々

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※レポートの内容および登場者の所属・役職等は記事公開当時のものです。