平成30年2月21日に第15回「シーフードショー大阪」にて「ムスリムの魚料理と魚の販売現場を知る」というテーマでセミナーが行われました。3名の講師の方に、それぞれのお立場からムスリムと魚(魚料理、水産加工品)についてのご講演を頂きました。
講師ハラル・ジャパン協会代表ハラルビジネスプロデューサー佐久間 朋宏氏
日本食レストラン 祭代表取締役佐野 嘉紀氏
アスリンク株式会社(上智大学学食)代表取締役モハマド・シャーミン氏
イスラムマーケット・ハラルビジネスの基礎知識については、一般社団法人 ハラル・ジャパン協会のHPをご覧下さい (ハラル基礎知識) http://www.halal.or.jp/halal/
この後のお二人のご講演は、佐野氏の和食レストラン祭の事例(ハラルといわないムスリム対応)とシャーミン氏の上智大学学食の事例(ハラルというムスリム対応)という2つの異なるムスリムマーケットへのアプローチのご紹介になります。
「宗教上の理由があってもしっかり理解して日本の美味しいものを食べてほしい」
現場ムスリムの声に合わせれば、ムスリム対応は難しくない
築地にある「かき小屋」は、ガンガン焼を「酒蒸し」ではなく「お湯蒸し」で対応している。 肉メニューは一切ないので、安心。 お醤油は、すべてハラル醤油にしている。
参考書籍:「飲食店のためのハラル対策ハンドブック」(柴田書店、2017)
平成30年2月22日に第15回「シーフードショー大阪」にて「ブレイク寸前!東北の海の幸「ホヤ」の魅力。最新動向と活用法」というテーマでセミナーが行われました。今回の展示会でも宮城県から出展した22社のうち7社が取り扱いを行う「ホヤ」。この宮城県の水産の復興の要となり得る「ホヤ」について、その魅力や活用事例などの紹介を行っていただきました。
震災前、ホヤはその生産量の80%を宮城県が占めていたが震災により養殖は壊滅。そんな危機的状態の中でも2011年になんとか種付けを行い、出荷できる大きさになる3年後の2014年には宮城県産の立派なホヤを復活させたが、ホヤを取り巻く状況は一変。もともとその生産量の70%の消費先であった韓国は東北・関東の海産物の輸入を全面禁止とした。加工業者も加工原料として使用することで、養殖のホヤを買い支えていたが、なかなか新規の売り先がない状態であった。
この状況を少しでも変えたい、2014年に、生活協同組合の有志、地元加工会社、ピースボートセンターいしのまきなどが集まり、「ほやほや学会」が発足された。現在もFacebook、Instagram、Twitterを通じて活用例やレシピなど情報を提供し、ホヤの認知度向上と、消費拡大を行いながら、飲食店などと産地を結びつける役割を担っている。
ホヤは東北を中心に食べられている海産物。ホヤ貝と言われることもあるが実は貝ではなく、尾索動物に分類され、人間などの脊椎動物に近いグループである。
ほやは5つの味覚「甘み、塩み、酸み、苦み、うまみ」を兼ねそろえた唯一無二の食材。小さいころから食べていると味覚形成に役立つと言われている。また、「うまみ」としてグリシンとグルタミン酸が含まれるため、後味を膨らませる効果があり、ホヤを食べた後に水やお茶、お酒を飲むと甘く感じられる。
100gあたりの栄養素プラズマローゲン(認知症対策の注目成分) ⇒ ホタテの約4倍鉄分(貧血予防) ⇒ ほうれん草(ゆで)の約6倍 EPA(血液サラサラ) ⇒ マアジの約3倍亜鉛(精がつく) ⇒ 鶏レバーの約1.5倍 DHA(脳や神経の発達) ⇒ トロ(ミナミマグロ)と同等
今も昔も刺身で食べるのが主流ではあるが、ホヤは和洋中問わず、様々なアレンジがきく。養殖も安定し、味・栄養価も高い実力派であり、どこでも導入しているわけではないのでホテルや飲食店等で、他店と差別化を図れる。珍しいけど外れすぎない東北ではメジャーであるという基盤もある「ホヤ」はネクストブレークの食材である。
平成30年2月22日に第15回「シーフードショー大阪」にて「水産物の放射能調査について理解を深めるために」というテーマでセミナーが行われました。平成29年末までの調査結果の紹介や放射線の基礎知識などについて紹介していただきました。
放射性物質は放射線を出す能力(放射能)がある元素のこと(放射性元素、放射性核種とも言う)。放射性元素は自然界に存在するもの(天然放射性核種)と人工的に作られたもの(人工放射性核種)に分けられる。
被ばく線量の計算方法は下記の通り。
上記の場合、食品の基準値(100 Bq/kg)を超えているものの、300 gを毎日食べ続けても、1年間で人体に受ける放射線量は、0.00078 mSv × 365 日 = 0.28 mSv(胸部X線検査1回分に相当)
放射性元素を含む食品を摂取することによる人体への影響を考えるときは、放射性元素の濃度と摂取量の両方を考える必要がある。
食品の基準値(100Bq/㎏)は、セシウム以外の放射性元素の影響も含め、すべての世代の計算結果を考慮して設定されている。
セミナー会場で配布された冊子については下記サイトからPDF版を無料でダウンロードできます。
国立研究開発法人水産研究・教育機構HP
農林水産省水産庁HP
※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。