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セミナーレポート「水産業界販路回復・拡大セミナー in 相馬」

水産加工業販路回復取組支援事業において、復興水産加工業販路回復促進センター主催のセミナーが平成29年1月21日に相馬市の相馬双葉漁業協同組合・大会議室にて開催されました。
未だ試験操業という状況ですが、松川浦は海苔の宝庫、さらに相馬は水産加工・鮮魚出荷が盛んであったことから、課題と今後の対策並びに6次化商品の開発情報の話を頂きましたので、レポートします。

第一部 水産物の放射性物質の調査について

講師:
水産庁 増殖推進部 研究指導課
漁業監督指導官
髙瀨 力

1988年 水産庁に入庁され、水産関連施設整備、資源管理等の部局に在籍されました。
2014年 福島県の漁業復興の業務を兼務され、2015年 水産物の放射性物質検査の業務を兼務されている。

福島県沖の水産物の検査の流れ
  • ・ガイドラインに基づき検査の年間計画を作成(実績:8千点/27年度)
  • ・水産試験場調査船と漁船により週1回200点の場所にて試験操業を行い、福島県農業総合センターにおいて分析(Ge検出器)を行う。
  • ・さらに、放射性セシウムの値が基準値以下の状態が一定期間続いていることを確認した上で、以下の協議会等で行基を行い、試験操業対象魚種に決定される。
  • ・①漁業者・流通業者の協議会→②地区試験操業検討委員会→③地域漁業復興協議会→④組合長会議
  • ・現在94種が解除され、福島県内外に出荷されている。
各漁協での安全に関する取組み

試験操業で水揚げされた全魚種に関して1個体の検体を実施している。漁協にある簡易分析器によって検査を実施し、25Bq以下のもののみ出荷・販売されている。25Bqを超えた魚種に関しては、福島県水産試験場において再度分析を行っている。

  • ◆研修を受けた漁協職員が検査
  • ◆各検査室において、7~10名程度で検査
  • ◆検出下限値は12.5Bq以下になるよう検査

第二部 水産業の現状と6次化商品の開発・流通について

講師:
水産業地域活性化研究会・静岡
代表
山下 光夫

山下様は、静岡県漁連に30年以上勤務され、販売部長や参事、常任理事を歴任されました。2011年3月からは水産業地域活性化研究会・静岡の代表を務める一方で、2014年3月からは浜名漁協にて代表理事組合長を務められておりす。現在、静岡・浜松に拠点を置き、静岡6次産業化サポートセンター専門企画推進員を就任され、水産業の活性化に取り組まれ、ご活躍でございます。

水産業の現状について
  • ・地元の浜名湖のアサリが激減したことにより、潮干狩りが中止され、周辺の旅館業は大打撃を受けた。
  • ・浜名湖にかかわらず、日本の漁港の水揚げ量の減少は、海の栄養が減少しているのが大きな理由と考える。
  • ・農業用水・工業用水のように「漁業用水」という考え方をしていかないと海はこのまま栄養不足状態が解消されない。
6次化商品の開発・流通について
  • ・6次化商品の開発には、それぞれの産業がきちんと自分の仕事をすることと、3社が協力
  • ・連携することが大事。
    【1次産業】安定して生産または、漁獲をすること
    【2次産業】きちんと加工をし、いい製品を作ること
    【3次産業】ストーリーを打ち出し、商品をお客に提供すること
  • ・ 浜名湖でのエビ・カニを捕食するエイの駆除と共に、製品に加工し、販売することを考えた。学校給食として利用してもらうなど、協力してもらった。しかし、から揚げ用のサイズで下したところ、大きさがそろわないため、給食としては適さないといわれ、サイズを合わせるために、すり身の厚揚げに変更。加工業者に、すり身にしてもらうが、加工後の器具の掃除が大変だと、嫌がられたり、苦労も多かった。
  • ・エイのひれは、静岡の伝統ある手火山式の燻製加工し、エイのひれのくんせいとして、お土産として道の駅や物産館などで販売しているが、好評を得ている。イラストは、大学生に作成してもらった。
感想

福島県沖の魚介類は、きちんと検査されており、安心・安全で全く問題ないことを再認識されるセミナーでした。
さらに、販路開拓の一つの手段として、6次化商品を地元の方々と協力して取り組むことで、商品の開発・販売につなげるやり方等が少し見えたのではないでしょうか?

※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。