平成28年10月25日(火)、釜石市のイオンタウンホールにて、販路回復セミナーが開催されました。 消費ニーズに基づく商品づくり・商品改良につながることを目指し、日経トレンディの編集長も務めた講師より、地域発ヒット商品開発について、消費マインドの背景を踏まえた話を伺いましたので、ご紹介いたします。
日経トレンディでは、毎年ヒットランキングを出しており、ヒット商品の背後にあるトレンドについて、不況の時代(PB、格安の価格勝負)には、どう変遷するのかなどを調査している。 その一例として、節約志向後は、我慢疲れや特別性などのプチプレミアムなものが売れた。一方で、メーカーは、売れない間に貯めていた新商品を投入し、モノからエクスペリエンス(体験)へという傾向が見られるなどがある。 そして、このような動きには、周期的なものと不可逆的変化が起こっている。
人は、モノ(商品)ではなく、コト(現象)で動く傾向がある。モノがあふれた時代の戦い方では、エモーショナル(驚き、喜び、愛着、感謝等の感情)なつながりが必要であり、ストーリーが見えないものは売りづらいのである。価値の見える化(デザイン)、伝達(マーケティング)等、商品企画やモノづくりでの価値の結成が重要になる。 商品開発において、モノがあふれる市場では、市場ニーズは分散化・高度化し、ターゲッティングの重要性が増している。当たり前に思うが本当にこのターゲッティングが出来ているのかが重要であり、作り手だけの思いだけでは難しい。
人口ピラミッドからは、1960年と2015年での人口の大変化、特に3つのクラスターと消費の動機について、①30~40代の働く女性、②共働き子供1人のファミリー、③シニア→(年代によって違う)、その他、おひとりさまの増加、いまの20歳はどんな人か、恋愛しないと消費はどうなるか、そしてインバウンド、ビヨンド2020(オリンピックの2年後から一気に後期高齢者が増加)等、人口減少社会の新しい価値観(情報過多で拡散する消費者、ボリュームに対する考え方の変化、富裕層と大衆市場の乖離の加速等)を踏まえて考察した。
最後に、価値設計、ストーリーによって「創って」、製造、コスト、デザインによって「作って」、販路、販促支援、情報発信によって「売る」ために、まずは、世の中のヒット商品の傾向から、消費のニーズや消費性向を知ること、クラスターごとの生活スタイルを知ることが重要である。
※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。