セミナーレポート「水産加工業販路回復セミナーin相馬」

水産加工業販路回復取組支援事業において、復興水産加工業販路回復促進センター主催のセミナーが平成27年11月25日に相馬商工会議所にて開催されました。
未だ試験操業という状況ですが、松川浦は海苔の宝庫、さらに相馬は水産加工・鮮魚出荷が盛んであったことから、課題と今後の対策並びに輸出への販路についての提案並びに情報の話を頂きましたので、レポートします。

第一部　青のりの現状と今後について

• 青のりとは・・・
  • 一般的に青のりと言われているが、表示の観点からは、次の3種類に分類される。
    「アオノリ」「ヒトエグサ」「アオサ」
  • 「アオノリ」は、紅藻類であり、南方系の汽水域（塩分濃度0.05-3％未満）で育ち、産地として、高知・徳島・愛媛が多い。
  • 「ヒトエグサ」は、緑藻類であり、1日のうちに陸上になったり海中になったりする潮間帯にて育ち、相馬も多く生産されていたが、三重、愛知、熊本、長崎が多い。
    高級品は、板状の海苔として販売されているが、安いものは佃煮として販売されている。
  • 「アオサ」は、緑藻類であり、一般的に潮の満ち引きのある浅い海の岩などに付着して生息・繁殖し、産地としては、愛知、岡山が多い。現在は、価値が低く見られるようになったことから、国内生産は少なく、中国からの輸入が多くなっている。

  

• 海藻類の需要として・・・

  ヒトエグサは、高級品として板海苔を販売している一方、色が薄く、安価での売買となっているものは佃煮の原料になることが多い。
  海苔の佃煮は、介護食での需要のポイントである「高齢者や育ち盛りの子供たちに必要な鉄、カルシウムなどの栄養素を補うことができる商品である」こと、「素材をやわらかく煮込み、食べやすく、やわらかいのはもちろん風味豊かな味である」ことにマッチすることから、介護食向けへの需要が多くあり、大手企業は本事業に本格的に取り組もうとしているとの情報もある。
  さらに、簡便に食べる商材として汁物の商品であるカップスープでの青さの利用に需要が多いとの情報もある。

  

• 操業並びに販路拡大の対策として・・・
  • ①安定的な生産が必要漁がなく、海苔の生産ができないという年があれば、翌年は価値が下がり暴落するという市場になっており、安定的な生産が必須となっている。
  • ②安心・安全のPRが必要相馬地区は、放射能の問題があり、放射能の残存数の数値化により安心・安全のアピールが必要である。さらに、異物が多く混在していることから、異物除去についてもきちんと行っていることをアピールする必要がある。
  • ③漁場の整備が必要相馬原釜地区、松川浦地区では、閉鎖的な漁港となっており、潮の流れがあまりない。ということは、港湾内が淡水になっているのではないか、汚泥が沈殿しているのではないかという懸念が残る。
    このことから、開放的な漁港とし、海水を循環させ、異物除去、放射能の除去が自然界でもなされていることができるようになり、綺麗な港湾だということがアピールできる。
    そうすると漁獲を始めよう、製品を生産しよう、製品を買ってみよう、販路拡大するという流れになっていくのではないでしょうか？
  • ④養殖と加工業者の作業分離が必要韓国では分業制が進んでおり、漁獲することを中心、製品製造を行うことを中心という形で進めることで、より良い製品の製造が可能になり、新規の雇用も生むという循環になっている。

第二部　水産加工品の現状と今後について

• 輸出している国の動向並び各国の日本食事業について
  • アメリカ輸入されたものは国内での消費がほとんどである。
    1軒で全ての日本食が食べられるようになっている。
  • EU輸入されたものはEU圏内での消費がほとんどである。スーパーでお寿司が購入でき、サンドイッチの隣には必ず寿司があるという感覚。
  • 中国輸入されたものは、再加工して再輸出されていることが多い。
    さけ・ますは、輸入した原料を切身にして日本へ際輸出されている。すけとうだらは、輸入した原料を切身加工等にして弁当商材として再輸出している。日本食全般の食べ放題が多くある。
  • 東南アジアタイは、輸入されたものは、半分は国内消費。半分は、再加工して再輸出されていることが多い。かつお、まぐろは、缶詰にしており、需要は多い。
    シンガポールは、昔は日本食のハブとしての機能を持っていたが、現在は、香港・タイへその機能が移ってきている。
    日本食は、回転寿司屋があり、ファミリーレストラン感覚で多様な商品が回っている状態である。

  

• 輸出について・・・
  • 細かいところを見ていくと複雑であるが、やり方としては、国内売買に運送業者が入ったと考えてもらえるとわかりやすい。
  • 国内売買と同じで、現地のお客様と商談とし、現地のニーズ等に併せた商品製造を行い、商談が成立すれば、商品を輸送するという流れになり、輸送の際に「産地証明書」「放射能検査証明書」「衛生証明書」などが必要である。
  • 考え方としては、繰り返しになるが、国内販売に運送の書類が追加されますと考えるとスムーズに考えられる。

  

• 輸出戦略について
  • 細かいところを見ていくと複雑であるが、やり方としては、国内売買に運送業者が入ったと考えてもらえるとわかりやすい。
  • 国内売買と同じで、現地のお客様と商談とし、現地のニーズ等に併せた商品製造を行い、商談が成立すれば、商品を輸送するという流れになり、輸送の際に「産地証明書」「放射能検査証明書」「衛生証明書」などが必要である。
  • 考え方としては、繰り返しになるが、国内販売に運送の書類が追加されますと考えるとスムーズに考えられる。

  

感想

海苔についての知識並びに相馬地区での課題について再認識されるセミナーでした。
さらに、販路開拓の一つの手段として、海外への水産加工品の輸出を考えている方には、やり方等が少し見えたのではないでしょうか？

※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。