令和3年3月17日に第18回「シーフードショー大阪」にて「水産物の放射能調査について理解を深めるために」というテーマでセミナーが行われました。 放射能についての基礎知識や、最新の水産物のモニタリング結果を交え、放射線リスク等について講演を行っていただきました。
放射性物質とは、放射線を出す能力(放射能)を持つ物質のことです。放射性物質には、自然由来のものと人工由来のものがありますが、同じ種類の放射性物質であれば、性質に違いはありません。つまり、人工由来であるから危険だというような考えは間違いと言えます。
放射性物質に対する単位として、「ベクレル(Bq)」や「シーベルト(Sv)」があります。食品等に含まれる放射性物質の量をベクレルで表し、人体が受ける放射線の影響(被ばく量)は、シーベルトで表します。同じ量(Bq)の放射線物質であっても、その種類が異なると、被ばく量(Sv)も異なります。
なお、放射線による人体影響は、被ばく量100mSv以下であれば喫煙、飲酒、肥満などの要因に隠れるほど影響が小さいとされています。
私たちは、日常生活においてある程度の放射線を受けており、日本人1人が1年間に受ける平均被ばく線量は、合計5.97mSvと言われています。
●自然放射線由来:2.1mSv ●人工放射線由来:3.87mSv
食品の国際規格を定めるコーデックス委員会では、食品より追加的に受ける被ばく線量の上限を年間1mSv以内と定めており、日本やEU等でその考えが採用されています。
飲料水の基準値は、世界保健機関(WHO)の指標に沿って、10Bq/kgに設定されています。2Lの水を365日飲むとして計算すると、飲料水由来の線量は年間約0.1mSvとなります。 よって、食品の線量の上限値は、飲料水の上限の約0.1mSvを差し引いた約0.9mSvとなります。 基準値を定めるにあたり、対象とした放射性物質は、福島第一原発事故で放出されたもののうち、半減期が1年以上のもの8種類です。このうち、セシウム以外の放射性核種は検査に長い時間を要すため、放射性セシウム以外の放射性物質を考慮した上で、比率が高く、測定の容易なセシウムを指標として基準値が設定されています。 また、被ばく量と放射性物質濃度の関係式は以下のとおりです。
飲料水を除く食品の線量の上限値(約0.9mSv)を超えないよう、以下の考え方を前提として放射性物質濃度の限度値を算出し、基準値を設定しています。
上記の条件を踏まえると、最も線量の影響を受けやすい世代・性別である13~18歳・男性において、限度値は120Bq/kgと算出されます。これをさらに安全側に切り下げ、基準値を100Bq/kgに設定しています。すなわち、食品の基準値(100Bq/kg)は、放射性セシウム以外の放射性物質の影響も含め、すべての世代の計算結果を考慮して設定されています。
厚生労働省では、平成23年度から、実際に流通する食品で作った平均的な食事に含まれる放射性物質の量を調査・推定しています。直近では、令和元年9~10月に、福島県内3地域を含む全国15地域で調査が実施されており、その結果、食品中の放射性セシウムから人が1年間に受ける線量は、0.0005~0.0010mSvと推定され、線量上限とした1mSvの0.1%程度と極めて小さいことを確認しています。
農林水産省では、福島県産水産物の販売不振等の実態と要因を明らかにし、今後の施策検討に資することを目的として、福島県産農産物等実態調査を実施しています。
また、福島県産農産物等流通実態調査の結果に基づき、卸売業者・仲卸業者・小売業者等へ下記のとおり指導、助言等が行われています。
セミナー会場で配布された冊子については下記サイトからPDF版を無料でダウンロードできますので、ご参照ください。
令和3年3月17日、第18回「シーフードショー大阪」において、「農林水産物・食品の輸出拡大に向けた取組」と題して、その取組内容について、説明を行っていただきました。
日本の農林水産物・食品輸出額は年々増加しております。2020年1月と2021年1月を比較しても増えております。輸出先国・地域としては、香港、台湾、アメリカ、中国が多いです。 しかし、国内の市場規模は縮小しつつあるため、拡大する世界の飲食糧市場へ目を向けており、輸出額を2025年までに2兆円、2030年までに5兆円にすることを目指しております。
輸出促進法第14条第1項に基づき、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する実行計画(以下「実行計画」という。)を作成しています。 これまで実行計画(輸出促進法施行前の工程表を含む。)として、222項目を作成し、77項目が対応済みとなっております。 現在も輸出拡大のために、日々達成に向けて動いております。
令和3年3月17日、第18回「シーフードショー大阪」にてほやほや学会によるセミナーが行われ、ほやの魅力や、認知度向上・販路拡大の取り組みを紹介していただきました。
「ほや」は宮城県を代表する海産物で、震災前には、全国の生産量の約80%を占めていました。その多くは韓国向けに販売されていましたが、震災後は原発事故の影響による禁輸措置が現在も続いており、輸出がすべてストップ。 そこで、苦境に立たされた「ほや」の販路を拡大するため、ほやほや学会を立ち上げ、Facebook、Instagram、Twitterを通じて「ほや」の活用例やレシピなど情報発信を行い、持続可能な食文化の醸成に寄与することを目指しております。
ほやは、東日本大震災前の2010年には、約1万トンの生産量があり、そのうち約7千トンが宮城県で生産されていました。ほやは産卵期である12月に、ロープに牡蠣の殻をくくり付けた採苗器を用いて天然のほやの卵を付着させ養殖されていました。しかし、震災による津波の影響で、養殖していたほやが流されてしまいました。 ほやは、出荷できるようになるまでに最短で2年半の期間が必要です。そのため、震災後に養殖を再開したほやが育ったのは2014年のことでした。ようやく生産が再開されたほやですが、主要な輸出先である韓国の禁輸措置により、販路がなくなってしまったのです。
韓国という主要な販路がなくなり、それまでの国内消費量の3倍を消費する必要が出てきたほや。販路拡大のため、関係者が一丸となって多方面からのアプローチを行い、ほやの魅力を伝えています。
刺身で食べることが多く、食べ方のバリエーションが少なかったほやですが、消費拡大のため、水産加工業者により様々なほやの加工品が開発されました。
糞を抜いて臭みをおさえた「鮮美透涼ほや」が開発されたり、その高い栄養価から、ほやを材料としたサプリメントが開発されるなど、付加価値を高めることで消費者にアピールがされています。
ほやは、ディープなファンに根強い人気があります。ほやほや学会では、飲食店、ほやファン、産地をつなげ、飲食店とほやのファンを増やし消費拡大を目指すため、ほやのフェアを開催しました。
「ほや」の消費拡大のためには、ほやほや学会だけでなく、自治体、漁協、卸、飲食店、マスコミなど関係者が一丸となって「ほや」の魅力を伝えることが必要です。このセミナーを通してファンとなった方も、是非その一員となっていただき、「ほや」の魅力を広げ、盛り上げていきたいとのことでした。
食品関係の事業者や個人の「ほや」ファンなどに広く情報提供するため、ほやほや学会では「ほや取扱指南書」や「ほやガイドブック」をHPで公開しています。こちらもぜひご覧ください。
ホヤについてもっと知りたい方はこちらをご覧ください
令和3年3月17日、第18回「シーフードショー大阪」において、「農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)について」と題して、その取組内容について、説明を行っていただきました。
2020年度の農林水産物・食品の輸出額は9,223億円であり、前年度比+1.1%でした。新型コロナウイルスの影響を受けたものの増加しております。
これから輸出をしようとする事業者、あと一押しで輸出に繋がる事業者、すでに活発に取り組んでいる事業者や輸出商社、流通事業者・物流事業者など、輸出に本気で取り組む多岐に渡る事業者が登録しています。
農林水産省、JETRO及び輸出の専門家等とともに生産現場等に直接伺い、輸出の可能性等をお伝えしています。
GFP登録者の皆様には、GFPコミュニティサイトのマイページで商品の写真や説明などPRを行っていただいております。また、商品を気に入ったバイヤーとのやり取りができるよう、商談用の掲示板の設置など、輸出プラットフォームの整備を随時行っています。
GFP登録者に対して、輸出専門家等によるセミナーや交流会等を実施します。
・GFPグローバル産地づくり推進事業 海外のニーズに対応した「グローバル産地」の形成が必要となりつつあります。「グローバル産地」形成に係る支援を実施しています。
771件組成。 輸出診断を希望した生産者等に輸出診断チェックレポートを配布しました。
430件組成。 生産者等をJETORO等と連携し訪問し、輸出の可能性について診断しました。 輸出診断を機に輸出が開始されたり、活発化することもありました。
27件組成。 訪問診断後のフォローアップとして、輸出専門家などとともに、生産者等の伴走支援を行うことで、商談に繋がるなど、輸出を活発化させていきました。
訪問診断後のフォローアップとして、もう一歩で輸出拡大が見込める事業者を対象とした輸出実務に係るセミナーやグループワーク等を行い、実践的な知識の習得や商談会の実践等を行いました。
海外から求められる品質・コスト・ロットに対応した生産や海外の規制等に対応した産地「グローバル産地」の形成のための補助事業で令和2年度には63件が採択されました。
カタログの電子版を作成し、商談などに活用していただきました(131件)。
GFPを活用して輸出に繋がった優良事例を幅広く紹介しました(20件)。
セミナーや交流会等を開催し、GFP登録者のネットワークを強化しました(8回)。
生産者等と輸出事業者のマッチングを行い、10億円の輸出機会を創出しました。
GFP登録者間の連携を促すため、産地間の輸出課題の整理や解決を図りました。
事業者間の交流が1,000件以上あり、掲示板の活用をしたりしてマッチングに利用されました。
イベントの案内やその実施概要等の情報発信を積極的に行っています(589件)。
補助事業の紹介や各機関のイベントの案内等を積極的に行っています(145件)。
今後はさらにサービスを拡大するなど、GFPの取組を加速化していきます。 また、よりきめ細かなサービスを展開していきます。 ぜひとも、GFPに登録していただき、我々と一緒に輸出を拡大する取組を行い、 日本産農産物等の輸出の成功事例を作っていきましょう。※GFPの登録料は無料です!
令和3年3月18日に第18回「シーフードショー大阪」にて「チーム化による水産加工業の再生『未来を変える、新たな取り組み』」というテーマでセミナーが開催されました。 このセミナーでは、被災地の持続的な発展に資するチーム化モデル事業について、その取り組み成果や事業後の状況、事業から生まれた商品等を紹介し、チーム化によるメリットやチーム化するためのポイント等について講師の方からご説明いただきました。
←さんまのポーポー焼き食育キット容器の中に、一人分のさんますり身、味噌、ネギ、生姜、パン粉が入っており、具材を混ぜ合わせ、こねて成形することでポーポー焼きを簡単に作ることができる。
令和3年3月18日、第18回「シーフードショー大阪」において、「イスラム諸国水産ハラルセミナー2021大阪」と題して、その取組内容について、説明を行っていただきました。
「魚」はハラル 土の中、水の中のものは基本的に「ハラル*」です。
水産品にハラル認証が必要な理由 工場で加工する際に、「ハラル」でないものが混入する可能性があるためハラル認証が必要な場合があります。
冷凍加工食品も、魚介乾製品や弁当も「ハラル」の対象になります。そのため、「ハラル」について意識をもつことが大事になります。現在では、日本の水産品ハラル認証取得企業は増えています。
*ハラルとは、ムスリムが食べらるものを表します。
日本で作るモノ、海外で作るモノを仕訳し、調査↓
まずは成分ハラルを目指す(東南アジア等のバイヤーがハラル認証を要求します)↓
ハラル認証取得の可能性を調査↓
補助金の有無の確認、従業員研修の実施↓
レシピ開発などテストマーケティングの実施↓
認証団体の選定
*日本の商品はハラル商品になりやすいです。
静岡県焼津市で、水揚げされるメカジキやマグロの漬け魚加工を中心行っている企業です。
もともとは八百屋から始まった企業ですが、今では食品全般を取り扱う京都市の企業です。
情報の収集をしながら、ハラルマーケットへの進出を試みていきましょう。
令和3年3月18日に第18回「シーフードショー大阪」にて「復興水産加工業販路回復促進事業の概要及び復興水産販路回復アドバイザーによる事例紹介」というテーマでセミナーが行われました。実際に現地で加工屋さんに指導をおこなっている復興水産販路回復アドバイザーから、取組事例の紹介を行っていただきました。
竹葉氏より令和2年度復興水産加工業等販路回復促進事業の取組内容について説明がありました。 概要についてはこちら(令和2年度復興水産加工業等販路回復促進事業の取組状況について)をご参照ください。
島本氏は復興水産販路回復アドバイザーとして、前職で培ったネットワークを活かして、製造者と百貨店等の売り先のマッチング、新商品開発、展示会での見せ方等についても助言を行っています。そんな島本氏が普段アドバイザーとしてどのような指導を行っているのかに加え、そのアドバイスによる成功事例の紹介を行っていただきました。
具体的には、ヒアリングにて8項目を聞く
ヒアリングの結果 阻害要因の掘り起こし
課題解決の糸口を提案
展示会に出展する目的を明確にし、有意義な商談会にするため、上記のような事前検証を進めている
事前検証を行うことで自社の課題を抽出展示会の実施内容が決まる
事前検証の結果、展示会出展により、新商品の開発や販路開拓へ
売れる商品とはどのようなものなのかを、具体的に提示
どのような商品が売れるのか、コストダウンに繋がるのか、事例を提示し・助言
自社の強み、こだわり、味、デザインなどの改良から最高賞の受賞へ
復興水産加工業販路回復促進センターが派遣する「復興水産販路回復アドバイザー」は、島本氏のほかにも、豊富な支援実績のある方々で構成されており、「新商品を作りたい」「消費者が望んでいるものは何なのか」「展示会に出たい」などの悩み・疑問に応じます。販路回復のことで悩んだら、まずはアドバイザーにご相談下さい。現地に出向き、課題解決の第一歩に向けたお手伝いをします。ぜひご活用ください。※1 ※2
※1 アドバイザーによる相談に関する費用は一切かかりません。※2 取り組み状況に応じて、複数回の現地相談が可能です。
詳しくはこちらをご確認ください。
※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。