令和2年9月24日に大船渡商工会議所において、「Withコロナで到来したビジネスチャンス~リモートでの商談の秘訣~」と題して、セミナーが開催されましたのでご報告いたします。なお、講師については、別会場からリモートでの講演となりました。
世界を揺るがしたコロナ禍によって、社会環境と仕事のスタイルは大きく様変わりし、様々な業界にネガティブな経済効果をもたらしています。コロナ禍における変化は「非連続性」の変化であり、急な転換を強いられます。 外出自粛がなされたことを機に、人との交流や買い物、飲食などの注文もデジタル化が進んだり、これまでにはなかった新たな需要が出てきたという声や、都市部ではなく地方での需要が出てきたという声も聞こえてきています。 近場の観光やローカル観光が増加し、オンライン飲み会が流行しました。また、在宅ワークが増えた影響で、建物は広い戸建ての需要が増加。オフィス街の往来が激変し、周辺の飲食店が苦戦するなど、状況が刻一刻と変わっています。 また、消費者マインドも変化し始めています。これまでの「モノコト消費」から「イミ消費」への変化です。例えば寿司屋に行く動機が「美味いから・安いからこの店に行く」ではなく「ここの大将に会いたい・この地域を応援したい」などに変わってきています。
消費行動は二極化され、質を求めないものは安価に、「イミ消費」ができるものにはお金を出す傾向になっていきます。そして、消費者のこだわりとマッチする商品であれば、価格が高くても購入するというのが「プレミアム消費」であり、これも「イミ消費」のうちのひとつとして、近年伸びを見せています。 そういった意味で、地域(ローカル)の商品は「イミ消費」につながりやすい傾向があるため、是非押さえたいポイントです。このほか、「利便性消費」が伸びており、中でも、菌やウイルス・腐敗の心配が少なく調理も簡単な冷凍食品などの「衛生利便性」の売上増が顕著となっています。 また、テレワークの導入による在宅時間の増加に伴い、インテリア品やDIY商品などの需要も伸びています。さらに、週末に良い食材(価格の高い食材)を使い、手の込んだ料理をする「プレミアム消費」の需要も増えています。
「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」のことで、「デジタル技術が浸透することで人間の生活のあらゆる面で新たな付加価値を与えるように変革する」という意味です。 フィルムカメラがデジタルカメラになるというようなツールにデジタルを導入するのが「デジタイゼーション」。 オンライン上で写真データを受け渡すというデジタル技術を活用してプロセスまで変えることが「デジタライゼーション」。 撮影した写真をSNSでシェアするといったようなデジタル化されたデータを使い様々な展開をして、社会に影響をもたらすのが「デジタルトランスフォーメーション」になります。 「DX」は「デジタルだから若い社員、得意な社員にやらせよう」という気持ちで取り組み始めるケースが多いですが、デジタル化を通して従来のビジネスモデルを高度化・拡張・再編することが目的なため、ビジネスの基本・本質がわかる者が携わらなければなりません。
また、コロナ禍においては「アフターデジタル化」が一気に進んでいます。 「アフターデジタル化」とは、デジタルで常につながっている人々がたまにリアルで接点を持つ。インターネットで商品を閲覧してたまにリアル店舗に買い物に行くなど、これまでと逆の接点の持ち方を言います。 ビジネスにおいては、オフライン(リアル領域)にアクセスさせるためのオンライン(デジタル領域)がメインとなっていくため、まずは常にお客様とデジタルでつながっているのが原則であり、ここが最大のポイントとなります。 「アフターデジタル」では、お客様のデータを半永久的に蓄積するためにお客様との接点を多く持つこと、そしてお客様をより早く深く知るという事が重要です。 商品提供の形も今までのように大量消費型の商品提供ではなくなっていき、お客様ひとりひとりという小規模な集団にカスタマイズした商品提供が必要になってきます。
これは商売において小回りが利く地方の中小企業こそ有利な展開とも言えると思います。
例えば、常にSNSでつながっている友人とたまにリアルで会うことや、インターネットで商品を閲覧してたまにリアル店舗に行くなど、まずは常にデジタルでつながっているのが原則。 ビジネスにおいてはここが最大のポイントとなります。 オフライン(リアル領域)にアクセスさせるためのオンライン(デジタル領域)がメインになります。
コロナ禍においても売り上げを伸ばしている飲食店のほとんどは、顧客とのつながりを意識して経営しており、ホームページ、メール、SNSなどを活用することで、「如何にして顧客とつながっていけるか、或いはつながっているか」の価値を高めています。 また、SNSで新規顧客を開拓するにも、まずは既存顧客と繋がっていることが前提となるため、如何にして既存顧客をケアして来店頻度を上げながら、新規顧客にアピールしていくかも重要となります。 コロナ禍において危機的な状況になっている事業者は、単一の販路、単一の顧客、単一の売り方をしているという傾向があります。
顧客もコロナ禍で「デジタル」に触れる機会が増え多様性が増しています。 単一の販路での展開は厳しく、顧客がどんな生活をし、何に触れて、どんな感情で、何をしているか、をとらえなければならないですが、「デジタル」ではこれを捉えやすいのです。 このことから、「デジタル」でどう捉え、「デジタル」でどう伝えるかがますます重要となります。 自社商品を売る意味、消費者が自社商品を買う意味、会社を選ぶ意味、ターゲットを決めて何を行うか、これらを踏まえて「デジタルトランスフォーメーション」に取り組まなければなりません。
国内有名スーパーマーケットの中には、あのマイクロソフト社との取り組みを通じて「リテール2.0」に向けて「DX」の推進を加速させているという企業もあります。 「リテール2.0」とは、消費行動における製品価値と顧客体験を「喜びを増す」と「痛みを解消する」に分け、強みを弱みに変える仕組みを言います。これは対顧客だけではなく企業内部でも利用できる考え方になります。 さらに大手がDX導入に舵を切ることで、その取引先である多くの企業にもDXの導入が進みます。 今後さらにオンライン商談・WEB商談が増えることで、これまでExcelくらいしか使えていなかった企業のPCスキルが向上します。 よく利用されているWEBミーティングサービスは、「zoom」「Webex」「Google Meet」「Microsoft Teams」などです。 WEBミーティングサービスによって企業間のWEB会議もかなり普及してきました。それと並行してリアルでのやり取りが必要になります。 オンライン商談での一番のポイントは、商談する商材のサンプルをどう提供するか。サンプルを届けることで映像や音声だけでは伝わらないリアルでも訴える部分は必ず必要となります。 商談先の企業にサンプルを送れない場合は、その商品のアンケートや感想などを10件でも5件でもまとめておくことが重要です。 バイヤーは消費者の生の声はかなり重要視する傾向があります。オンラインの商談では動画共有も可能なので、試食販売などの際に直接お客様の声で反応を言っていただいた映像なども共有できると有効です。
また、ホームページなどでモニターを募集し、全国各地のお客様にサンプルを送り、「Teams」や「zoom」で感想を収集するという方法もあります。 これは数値では表現のできない「定性調査」の一つであり、定性調査の結果はバイヤーにも非常にウケが良い。投影が簡単にできるなどオンライン商談でなければできない方法も多いということを覚えておくことが重要です。
オンライン商談の際の機材については、法人向けPCにはカメラが搭載されていない事もあるのでWEBカメラを用意しましょう。 音響についてはハウリングを防ぐためにマイク付きヘッドフォン(ヘッドセット)があると良いです。
オンライン商談の際に気を付けておくべきこと
商談相手先によって使用しているWEBミーティングシステムが違う点も考慮しましょう。 バイヤー側において、推奨環境以外のシステムを使ってはならない企業も多いので、その際にはサプライヤー側が使うシステムを合わせなければなりません。WEBミーティングシステム毎に操作が違い、また有料会員か無料会員かで、使用できる機能も違ってくるので事前に操作慣れしておくことも重要です。
※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。