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セミナーレポート「東日本大震災被災地域の水産加工品を海外に売り込め!販路回復・開拓パネルディスカッション」

平成28年11月25日にホテルメトロポリタン仙台にて、東日本大震災により販路を絶たれた東北被災地域の水産加工品等を、”三陸ブランド”として海外に売り込み、新たなビジネス・チャンスを創出することを目的として「販路回復・開拓パネルディスカッション」が開催されました。一部ではありますが、こちらの模様をご紹介いたします。

セミナーレポート 第1部「三陸地域の水産加工業等振興に向けた取組」について

講師
経済産業省 東北経済産業局
局長
田川 和幸

被災地域の水産加工業の現状と今後について

厳しさを増す現在の事業環境

人口減少、魚離れなど震災以前から消費量低下傾向がみられていたが、震災による壊滅的な被害により、水産加工業者は、施設設備の復旧に至るまでの期間に、既存の流通・販路を喪失。また、地元商店も同様に被害を受けているため、その販売網を失い、さらに大手流通も縮小した。

失ったものだけではない

世界三大漁場である三陸の豊富な水産資源。これは震災後も変わらず享受でき、また、熟練の技術に加え、施設の復旧のために新しく導入機器はさらなる高度な加工も可能にしている。
基幹産業である水産加工業の回復、発展は被災地復興の鍵を握る。

新しい市場への挑戦

従前の生産・流通の形態には戻せない、戻らない。だからこそ、

  • ●国内の新たな市場を切り開く
  • ●成長を続ける海外市場の需要を狙う
  • ●戦略的商品開発を進める
  • ●競争力のある社内体制づくり などの新しい挑戦が必要

新市場開拓への取組について

顕在化した課題と進むべき方向性

先行する事業者の方々は将来を見据え、既に取り組みを開始している。
国外に目を向け、輸出を考えているグループの多くがその足掛かりとしてアジアの展示会等に出品を行っているが、その際、商品自体は高評価を受けながら、海外市場への安定的な輸出のために必要な品揃えや大ロットの注文に応えられる生産体制やコスト対応力が未整備であるという課題が出てくる。この課題をクリアするためには、個社ではなく地域でまとまり、協力体制を構築し、「知名度の高い地域ブランドを掲げて参入していく」ことが効果的だと考えられる。
このためには、

  • ①世界三大漁場である三陸地域の特性をいかした水産加工業等のあり方及びその地域活性化への活かし方について、幅広い関係者が意識や目標を共有し、協働するためのビジョンを描く
  • ②並行して、様々な公的支援策や産官学金の連携を活用しつつ、三陸のイメージを上げ、ブランド化を図り、輸出を促進する事業環境を構築していくために必要な取り組みを進め
  • ③そうした活動が三陸地域一体として、相互に波及効果をもって実施できるように、広域的な連携による協議会として活動する

ことが大事である。

取組紹介

三陸地域における水産加工品の輸出促進等に向けた取組 広域連携による取組の国内外への情報発信

関係省庁の支援施策

新規市場開拓を行う際に、専門家のアドバイスが聞けたり、助成を受けることができる施策が各省庁より出されております。こういったものをぜひ活用してみてください。

復興水産加工業等販路回復促進事業

被災地の水産加工業の販路回復等のため、水産加工・流通の専門家による事業者の個別指導及びセミナー等の開催、被災地の水産加工業者洋画行う販路の回復・新規開拓等の取り組みに必要な加工機器の整備等を支援。 詳しくはこちら

輸出拡大モデル事業(復興庁)

被災地における輸出拡大モデルの構築や被災地産品に対する風評被害の払拭等の輸出に関する先進的な取組を実施し、水産品・水産加工品を中心とした被災地産品の輸出拡大の推進を図る。

ジャパンブランド育成支援事業(経済産業省)

複数の中小企業等が連携して、優れた素材や技術等を活かし、その魅力をさらに高め、世界に通用するブランド力の確立を目指す取組みに要する経費の一部を補助することにより、地域中小企業の海外販路の拡大を図るとともに、地域経済の活性化及び地域中小企業の振興に寄与する。

まとめ

沿岸被災地域の水産加工業等は事業の回復・発展に向けて、広域的な連携による海外展開等の取り組みを進めている。このような取組は、早期復興にもつながっていくため、ぜひ様々な施策を積極的に活用していただければと思います。

※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。