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セミナーレポート「産地とのお取組み状況」と「展示商談会への訪問目的」

平成28年4月14日、八戸市水産会館にて水産加工品販路回復セミナー『「産地との取組み状況」と「展示商談会への訪問目的」』が開催されました。
「消費者の変化と対応」や「産地(生産者)とのお取組み状況」「展示商談会への訪問目的」などについて、お話をいただきましたので、レポートいたします。

講師
中島水産 株式会社
商品開発部
部長
田中 修

同社は、水産物・同加工品の小売・卸を営み、首都圏・関西地区を中心とした百貨店・スーパー・駅ビル内に小売店舗を保有(国内外に出店)。生鮮・冷凍魚介類から加工品に至る総合水産物流企業である。

魚をとりまく消費者の変化

  • 日本人の魚食文化の変化(家族構成の変化)による食選択の変化 例)高齢期=魚食から肉食へ変化など
  • 世界的な健康ブーム ⇒ 魚食への関心を集めている(輸入魚価の高騰、買い負け)
  • 住環境の変化・進化によるもの ⇒ 生ゴミを出せない、煙が出せない
  • 親が食べさせたことがない(食べたことがない物は食べない) ⇒ 基本的な料理方法が判らない。教わっていない
  • 魚の嗜好品化  ⇒ 魚の飲食店増加(魚は外で食べる物へ)
  • 高齢者の簡単簡便嗜好化(素材料理⇒惣菜、弁当の購入)

魚離れ、魚の消費量減少

消費者のニーズの変化

  • ライフスタイルの変化 ⇒ 余剰時間の有効活用(趣味・学習など)⇒ 調理にあてる時間の短縮
  • 家庭での食卓の形態の変化(個食化、少量多品) ⇒ 美味しい物を少しずつ、いろいろ食べる
  • 少子高齢化、共働き世帯や単身世帯の増加

こういった変化により・・・

  • 調理に費やす時間は減少傾向 ⇒ 主婦の時間の活用術の進化・・・余剰時間は自分の為に
  • より加工度の高い食材へのニーズの高まり ⇒ 冷凍食品の品質・味の向上と定期的な販促価格提供、レトルト食品などの加工済み商品の増加
  • 消費者の購買方法や購買先の変化 ⇒ 昔はスーパーマーケットだけだったが、コンビニ・ドラックストアなど購入先が多様化

結果・・・

◎素材としての鮮魚の販売の低迷
⇒ 加工度を上げた商品の展開強化(丸魚⇒切身、刺身、鮨、魚惣菜)が必要とされるようになる

消費者の購買方法や購買先の変化

  • 食品を扱う小売業態と店舗の増加(異業態の参入)
  • 生活環境の変化(進化)
    • ①ブロードバンド回線の普及と接続料金の低下
    • ②電子マネー ⇒ ポイントサービスと連動
    • ③ソーシャルメディアの進化
      ⇒ モバイル端末の活用(スマートフォンやタブレット)
  • ショールーミング ⇒ 店舗では商品をみるだけ、実際の買い物はネットで行う。
  • スーパーマーケットの進化 (医薬品の取扱、宅配サービスやネットスーパー、ネット通販)
    • ①新たなチャンネルの開拓を推進
    • ②異業態との協力体制作り、業務連携、他社との連携 ⇒ 地域ニーズへの対応
      ※安売りから脱却 ⇒ 高級路線・お値打ち価格 ⇒ 業績の堅調な推移を目指す

消費者の変化への対応 

加工度を上げた商品の展開強化

  • ①販売形態の変更
  • ②商品作りの変更
  • ③料理提案
    ・調理提案と実演試食販売
    ・洋風メニュー提案(ワインに合った食材の提供とメニュー提案)
    ・フライパンを使った試食販売
    *フライパンを使うことで、家庭での調理イメージが掴めるので、購買意欲UP
    *小さいフライパンを使用することで、1人前でも作れることを知ってもらう

産地との取組みについて

「産地取引先(依頼・委託)」ではなく、「取組み先(理解と協同)」の関係になることが大切

  • 品質・企画維持継続 ⇒ 鮮度維持指導、出荷企画変更 ⇒ 当日仕入れ、当日販売
  • 味の改善 ⇒ 加工技術指導、共同研究開発
  • 安全性の確認・確保 ⇒ 衛生管理チェック、衛生検査受託、商品カルテ管理
  • 身質改善 ⇒ 高品質養殖魚の育成と安全供給
  • 共同研究 ⇒ 稚魚のへい死率低減、成長促進、プラントの改良

差別化及びPB商材の開発

ネーミングだけのブランド魚ではダメ。
品質・サイズ規格・漁獲場所の限定・期間の限定(旬)・漁法の限定など明確に差別化

【取組み例】
  • ・目取りボイルホタルイカ(魚津漁協):ボイルホタルイカの目を除去
  • ・信州サーモンセミドレス加工(しなの屋養魚場):腹部を切り開き、えらと内臓を除去
  • ・活〆脱血鮮魚(魚津漁協、長崎県漁連、高知県漁協):水揚げ後、すぐに魚の動きを止め、 エラと尻尾の血管から血抜し、すぐに3℃から5℃の氷水に入れて冷却
  • ・活〆風間浦鮟鱇(青森県風間浦):1日以上活かし込み、胃の内容物除去、肝の血抜き
  • ・ボイル子持ちヤリイカ(青森県風間浦):現地の塩でボイル加工、墨袋、甲骨除去

今後の課題(中島水産での取組み)

Customer Satisfactionの推進・中島ブランドの再構築

  • 1.差別化の推進
    ①価格訴求による差別化
    →主力商品や旬の商品の加工度を上げ、より付加価値のある商品を提案しての価格訴求
    ②価格競争に陥らない付加価値商品の開発
    →他社にない高付加価値商品の開発 ⇒味・品質、顧客(消費者)が欲しがる商品
  • 2.SMとの明確な差別化 SM=スーパーマーケット
    ①価格競争をせず、より高品質な商品の提供
    ②価格許容範囲の拡大
    ⇒高グレード商品の品揃え ⇒店舗のグレードUP
  • 3.鮮魚素材売り場の拡大
    ①レギュラー商品、販促商品の拡充
    ②対面販売の強化 ⇒見せる対面販売と売る対面販売の併設展開

展示商談会について

バイヤー側の訪問目的(動機)

  • 1.既存取引先への挨拶・商談  ⇒ 新規商材の発見
    2.新規商品の開拓(新規取引先の開拓)

    ①探索商品がある場合・・・関連ブースを中心に探索
    ②新商品の探索の場合・・・全体的に探索

    3.業界動向や情報収集
    4.セミナー聴講 *関心のある内容のみ参加

【展示会終了後】メーカー側の対応について

  • 1.取引先への挨拶(新規含む)
    ・・・来訪の御礼、挨拶 ⇒終了後、期間を空けず、すぐに!
    2.商談内容の実施
    ・・・早期アポ取り、商談 ⇒サンプル・見積提出 早期対応!

※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。