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コラム復興水産販路回復アドバイザーコラム

第11回魚離れでも売れている商品から見るトレンド

桝谷 正義 氏
今回コラムを書いていただいた方

株式会社コモリ・日本食育者協会

桝谷 正義

専門分野

  • 販路拡大
  • 商品開発
  • 原料調達
  • 流通
  • 小売販売
  • マーケティング

毎年水産庁より発表されている魚介類の1人当たり年間消費量を見ておりますが、今年もがっくりしています。
2001年までコンスタントに40㎏弱あった消費量が2002年以降毎年1㎏ずつ減少し、2015年には、ついに25.8㎏まで落ち込んでしまいました。これは、ご存知の通り、若年層の魚離れ・魚嫌いに加え、高齢になると肉より魚を好むようになるという加齢による変化(加齢効果)も薄れてきていることが大きな原因であり、2010年以降、肉類に消費量が追い越されたままの状態です。

近年、都市部を中心に、日本人のライフスタイルは大きく変化し、都市部での1日3回の食事は、平均して家庭での食事が1回、残りの2回が外食か、中食となっています。
この変化も水産物消費減少の要因の1つとなっているのです。
ふた昔前に都市部のホテル惣菜が一躍脚光を浴び、これが百貨店、スーパーへと凄まじい勢いで広がりを見せました。このため、家庭内で調理しない家庭がどんどん増え、欧米とは少し趣が異なりますが「ホーム・ミール・リプレイスメント(家庭における食事作りに代わる商品)」が日本都市部に定着しつつあります。
数字的に見ても、量販店の食品構成比のうち、水産カテゴリーの縮小と反比例して、惣菜カテゴリーが年々数字を伸ばしていることでも裏付けされています。この変化を水産カテゴリー担当者は、指を咥えて見ていたわけではなく、多段ショーケースから平台へ移り、鮮魚売り場では、丸物中心の売り場を刺身に代表される半調理品中心に変えたり、加工品売場では「さかなやのすし」「魚屋の焼き魚、煮魚」、レンジ対応惣菜的加工品など時代にマッチした商品の販売努力も行われたのですが、全体的な水産物消費の減少は残念ながら止まっていないのが現状です。

一方、テレビの旅番組やグルメマガジンなどを見ていると、水産物に関する報道は必ず人気ナンバー1で、水産物消費の減退が信じられない気持ちになるほどです。このような水産物に関する情報は、日本人の魚食民族の血を騒がしているように思え、血が騒いだ商品を食べに行く、買に行くということから、よく売れることに繋がると思うのです。
お店や居酒屋では魚料理や総菜が人気なことでも分かるように、魚を食べたい欲求は持っているのですが、「魚=家で調理するもの」という認識が徐々に薄れてきているようです。
そのため、家庭の食卓に魚料理が上る機会は減少し、量販店等でも丸魚の購入量も減っています。

そのような中で、現在の水産物加工品の売れ筋はというと、サケ類切り身、辛子明太子、塩助宗子、チリメンじゃこ、釜揚げしらす、塩蔵わかめなどのように昔から売れ続けている商品や、調味加工品もレンジ対応や食卓に乗せればそのままおかずの一品にできるパックの工夫など時代要求にマッチした商品も多く開発販売されています。
価格にとらわれない特定の消費者向けの高級嗜好品は別として、店頭での売れている商品の考察結果として、これからしばらくは、次の3ポイントをクリアーしている商品がトレンドとして売れる水産物加工商品であると思われます。

これらのポイントを踏まえ商品開発をされてみてはいかがでしょうか。

さんまのかば焼きは「美味しくて、ソフト、さらにレンジ調理も可能(=コンビニエンス)」の代表として水産物売場で消費者に受け入れられている商品のひとつ

※インタビューの内容および取材対象者の所属・役職等は記事公開当時のものです。