株式会社プロ・スパー 代表取締役
鈴木 裕己氏
専門分野
「インターネットの普及」や「個性を尊重する教育」などの結果、消費は「多様化」し大量製造大量消費の時代から「こだわりの消費」にお金を掛ける時代になりました。その一方で「こだわらない消費」も生まれています。その両面を持つのが「食べ物」でしょう。 一方で私たちの生活を取り巻く情報量はどんどん増加しています。諸説ありますが「増加毎年約1.6倍…つまり10年で68.7倍、15年で720倍」に増えているそうです。ちょっとネットを開けば商品を知る機会となる広告もどんどん目に飛び込んできます。イイものもそうでないものもあるでしょうが、こういう広告を介して知れば、当然「イイもの」に見えてくるでしょう。
永らく日本の水産加工業は「少品種大量生産によるコストダウンに強みを持つ企業」と、「独自の製法などでこだわった商品を作りコツコツ販売する企業」とに2極化してきていました。しかし、前者は消費・嗜好の分散により苦戦し、後者はたいしたことないけど広告の上手な?ライバルに埋もれていきました。
そんな時代の中、生産者・加工業者が「いいものを作れば、また(以前のように)売れるんだ」という考え方ではなかなか販路回復は難しいと思います。認識しなくてはいけない事実は「あなたの商品がなくても(以前の)お客様はもう困ってない」ということです。そして新しい仕入れ、人間関係を既に作って満足しているのです。
では、どうすればよいのでしょうか?その答えは(既存のライバルよりも)「営業力」をつけることです。それさえあれば極端に言えば「そこそこ」の製品で必要十分です。情報が溢れ、仕入れ担当者はそれを精査しているようでいて…実は精査しきれていません。だからこそその企業にあった手法が有効です。その手法は様々な選択肢がありケースバイケースです。優秀な営業マンを育てる(雇う)、情報の拡散の仕組みを作る、すごい商品紹介書を作る、昔の販路に頼みこむ…どの手法を取れるのか?取れば効率的なのか?ここが非常に重要です。「藁をもすがる」では「藁」ばかり集まります。ハシゴを探してください。そのお手伝いをするのが我々復興水産販路回復アドバイザーです。
「イイものを作れば売れる」の確率はここ数十年で減ってしまいました。がむしゃらにやっても上手く成果が上がらないとしたら…やり方を再考するべき時でしょう。復興支援を叫んでも厳しいでしょう。震災から6年、幸か不幸か人は忘れていく動物です。そんな中で昨今、「そこそこイイ商品をたくさん売る手法を持った企業」が最も成功しているような気がします。
※インタビューの内容および取材対象者の所属・役職等は記事公開当時のものです。