令和5年7月5日(八戸)、6日(宮古)、12日(大船渡)、13日(気仙沼)、14日(石巻)、「東北復興水産加工品展示商談会2023」の出展に向けた事前セミナーとして「輸出で勝負!!水産事業者の海外取引先の出会い方と活かし方」と題し、開催されました。 本セミナーでは、主に海外取引を始めるにあたっての課題とサポートサービスなどについて語られました。
弊社は国際輸送手配、翻訳、商社機能など世界に目を向けた企業様へサービスを提供する会社で、海外拠点は、韓国、台湾 ベトナム、モンゴル、マダガスカルにあり、さらに今年9月にはマレーシア・クアラルンプールが新しく拠点に加わる予定です。
今年5月から、“海外営業部ドットコム”というサービスの展開を開始しました。このサービスは簡単に言えば、「海外営業部門のアウトソーシング」で、私たちノーパットを自社の海外営業部として活用いただくことにより即日、海外営業や海外からの依頼に対応できる組織を提供することが可能となる内容です。 社内には11か国語のネイティブが常駐し、国際輸送コーディネート業務は日本だけでなく海外企業にも提案しています。
今、海外の企業は日本の製品に興味を持ち、様々な情報を調べて問い合わせをしています。しかし、日本のメーカーがそれに対して返信していない、展示会で名刺交換しても連絡してこない、連絡してもレスポンスがないということが多いのが現状です。 また、通常の海外営業部門では、海外国際輸送の手配、海外マーケティング、為替などファイナンスの対応、ホームページの英語化、海外企業への営業業務、海外向けの広告出稿、海外展示会への出展など様々な業務を行う必要があり、そのための人材確保を含めるとかなりの労力となります。
海外進出において課題となる事項についてお話いたします。
1.言語の問題 ジェトロ様や自治体様など公共団体々からの紹介案件は、最初はプロの通訳者を用意してくれますが、その後は自社での対応がほとんどです。そのため、自社で対応できる人材がいなければ、言語的な対応ができないと話はそこで終わってしまいます。 そこで、自社で対応できない場合は、弊社のようなサポート業務を行っている会社へ業務支援をいただくと、最初のミーティング時から通訳などのフォローなどが可能になります。
2.海外からのメールの管理 海外からのメールでの問い合わせは、重要なビジネスチャンスです。ほとんどの企業様は、このようなメールをスパムメールとして処理しまいがちですが、このようなメールの対応がスムーズに対応できるとビジネスの展望を広げることができます。 自社で対応できると良いのですが、人材がいない、対応できるスキルが無いなどの場合は、弊社のようなサポート業務を行っている会社へ業務支援をいただくと、スパムでないことの確認、適切な返信対応等、迅速な対応が可能です。 スパムだと思っていた案件が実は大口の取引につながった事例もあります。
3.展示会で知り合った海外の取引先への対応 展示会などでは、煩雑で連絡だけでも大変という気持ちが生じがちです。海外のバイヤーも同じ引き合い先なので大事にしたいものですが、海外というだけで腰が引けてしまう方も多いかと思います。しかし、日本のバイヤーと同様、適切な対応をすることで、3分の1から2分の1は返信があり、見積もりが欲しい、もう一度、話を聞きたいといったことに発展する場合がありますので、海外展開したいと思っている企業様は、対応いただく努力をしていただきたいと思います。
4.問い合わせフォームの見直し 海外の方が日本の製品を調べる方法は実はとてもシンプルで、Google、検索エンジン、SNSなどです。そこで興味を持つと、ホームページを見て翻訳ツールを使い解読して見ています。しかし、そんな海外の方が、問い合わせたくてもできないフォームの企業も見受けられます。その際に、海外の方が入力できるフォームを作っておくと、海外の方が安心してアクセスできることとなり、商談の幅が広がります。 自社内で対応が難しい場合は、弊社のような支援企業を探し、ホームページ全体を多言語化することや、各国の問い合わせバナー等を設置し、海外の方が安心してアクセスできる仕組みを構築することが良いと思います。
5.海外向けの英語カタログ 海外からの問い合わせを受けて、次に必要なのが英語のカタログです。今は、簡単に作れるようなシステムがあります。商品の詳細情報を英語で記載する必要がありません。貴社の商品ページへユーザーを誘導してGoogle翻訳などの翻訳ツールで読み理解いただく仕組みです。そのため、英語が苦手な方にも簡単にご利用いただいております。
6.代金の回収 支払いは100%前金で買い取るのではなく、最低限30%は回収してから行います。海外企業は1万ドルを超えると分割払いになるケースが多いです。 そこで納得してくれるパーセンテージとして、手付金30%、残り70%というラインを設定しています。いつ払うのかが鍵で、通関前の日本から出ない状態で残り70%をいただきます。つまり、100%にならなければ自分たちの手から荷物が離れない仕組みです。 日本では100%前金でないとやらない、という方針の企業が一般的です。しかし、どうやったら取引できるか、自分たちがどこまでできるか、ということを、こういった例を参考に、ぜひ探っていただきたいと思います。
例として、これまでお話した内容について、弊社のような支援サービスを利用いただいたことで改善を行ったことで、海外へ事業を展開された企業様をご紹介いたします。
東京の武蔵村山市に拠点を持つ木工家具メーカーで、国際コンテストで多数受賞しており、海外の顧客からの家具のカスタマイズや輸送に関する依頼を受けています。 今までは、言語やコミュニケーションの課題をGoogle翻訳やdeepL翻訳などのツールを使って取り組んできました。しかし、時間がかかる上に、他の仕事もありつつというのは辛いということで、現在、海外対応は全て弊社が請け負っています。Webミーティングで同時通訳を弊社が行って先方の要望を聞き、契約内容の確認などを一緒に行うなど、売上を伸ばすお手伝いを毎月行っています。
ミナモト電機様は、ヒーター製品の価格帯を広く扱われており、その中でも弊社は小規模な案件の代理店として海外市場を担当しています。 東南アジアを中心にかなり注文は入っているのに、語学ができる人や輸送対応できる人もいない状況で、代理店はあっても大きな案件でしか動かない。そこで、小さな製品の販売窓口として、弊社がお手伝いしています。案件を滞らせると、海外から直接電話かかってくるなど事務の方がストレスを抱えていましたが、楽になりましたと喜んでいただいています。
鰹節や昆布巻きなどを扱う企業で、英語や中国語を話せる営業スタッフが不足しておりました。かなりの従業員数はいるものの、対応できる人は限られ、他の業務に集中できない状況でした。 展示会で大量に集まる名刺も後追い営業が十分にできない、Webミーティング時など言葉の問題で上手に商談ができないという課題なども含め、ほぼ全て弊社でサポートしています。
海外への展開をお考えの方や、現在、人材不足で海外事業が滞っている方がいらっしゃいましたら、上記課題の念頭に置き対応すると良いと思います。自社で対応できない場合は、弊社のような支援企業がございますのでぜひご相談ください。
令和5年7月19日に塩釜市と仙台市にて、「東北復興水産加工品展示商談会2023」の出展に向けた事前セミナーが開催されました。 本セミナーでは、「BYR(バイヤー),MD(マーチャンダイザー)の求めているもの」をテーマに、バイヤーの着目点、企業の今後につながる認証の大切さ等についてお話しいただきました。
現況を分析すると、コロナ禍もあり、百貨店やコンビニが苦戦した一方で、ネットスーパーや量販店が伸びました。外食産業も影響を受けましたが、東京や北海道等、一部では回復の兆しがあります。ランチ、ディナーの需要は戻っていますが、コロナ禍の対応を受けて二次会需要は集められなくなっています。 インバウンドは、中国からの訪日状況が回復していません。中国人は食に非常にお金を使いましたが、今は東南アジアやヨーロッパ系で、食よりはカルチャーにお金を使います。 また、女性の社会進出は増え、2050年には全員就業となりそうな勢いです。そうなると、食では調理時間の短縮とか、作るのが母親ではなく父親とか、生活の変化も今後ますます強まっていくと思います。
食のマーケットは、外食が苦戦している中、内食(家庭料理)、中食(惣菜等)は伸長しています。ヨークベニマルでも、ここ3年ほどは醤油や砂糖等、基礎調味料の売上が減少していましたが、最近では回復傾向です。そして、技術改良により美味しさと利便性が増した冷凍食品も近年マーケットが拡大しています。さらに、関東エリアではヤオコー様等、惣菜が強いスーパーや精肉の強いスーパーが好調になっています。
また、物価高や増税により、消費者の実収入は減少。節約志向が強まると、最初に食の支出を抑える動きが見られます。節約法も変化し、ティッシュは箱でなく中身を、洗剤も詰め替えを、高い牛肉でなく豚・鶏を選び、スーパーに行く回数も週4回から2回に減少する等の動向が見られています。一方、業務スーパー様やユニクロ様、マクドナルド様等、オリジナル商品や大容量商品を提供できる企業はこういった状況の中でも業績を落としていません。
展示会では、商談相手先のお客様の層や傾向を理解した提案が成功の鍵です。4つのポイントを紹介します。
1.商談相手の業態(外食・量販・専門店・市場関係)を確認 商談相手の業態にあった形態、量目、味付け、加工度、温度帯、賞味期限で提案をしましょう。 先方の売り場に行って自社商品の類似品を確認し、商談時に「お店に行かせていただきました。こんな商品がありましたが、うちのはどうですか」と話せば、「売りたいものの押し付けではなく、売り場もちゃんと見に来てくれる」と、印象がアップします。
2.商談相手の職位 MD BYR MGR等 仕入れ権限の有無 商談相手の仕入れ権限がどれほどある方なのか、上長確認が必要な商談相手なのか、バイヤー本人意思の反映具合、仕入から商品供給までの手順を確認しましょう。決定権のある方との商談がスムーズに進みます。
3.ボリュームバイイングなのか、スポット・小口買い付けなのか 自社のキャパ内のバイイングなのか、それを超えるのか、スポットでの瞬間的な取引なのか。どのような買い付けをするタイプの商談相手なのかを調べましょう。特に季節限定フェア等、瞬発的な需要を持つお客様には、どの時期に何を必要としているのかを把握した提案が必要です。展示会等で情報を集めましょう。
4.いつ、どのくらい使用できるのか 契約に至った場合でも、外食産業のメニューは季節で変わるので、供給時期の把握は必須です。販売までの期間やどのくらいの量を使用したいのかを確認し、いつ納品開始の商談なのかを明確にしましょう。
展示会に来るバイヤーで、明確な目的を持ってくる方は3割もいません。具体的な商品イメージをもって来場してるのか、新規取引先の開拓なのか、情報収集のためなのか、バイヤーがどういった目的を持っているかを見極めることも大切です。以下に目的別のバイヤーの傾向や対応方法をまとめました。
1.通常のプロパー商品を求めている 漠然とプロパー商品を探す人、情報収集だけの人もいます。プロパー商品を求めていると思ったら、このバイヤーは捕まえてください。このタイプは商品・供給義務を守ってもらえ、新規取引先を求める傾向があります。うまくいけば長く付き合える、良いお客様となる可能性があります。
2.フェアや限定特売品を求めている フェア等で数量、期間限定で瞬発的に売る商品を求めている場合、もし条件が合わなかったら話を切り上げても良いと思います。瞬発的には商品が動きますが、その後は続かない傾向があります。
3.こだわり品、安い品 こだわり品や安い品は要注意です。こだわりは、お互い理解して初めて成立します。自分としては譲れないところでも、お客様には関係ない場合もあり、相手のこだわりを探って商談をしてください。また、安さはそれぞれで異なります。相手がどれくらいのグレードの品を扱い、どんな価格帯なのかを理解していかないとうまくいきません。
4.トレンド 健康や簡便商材、認証関連、賞味期限延長等の情報を集めているタイプのバイヤー。新しい技術についての提案があれば、商品はその時に決まらなくても、のちに「あそこならあるかもしれないから覚えておこう」と一度商売してみようと思います。商品だけではなく、情報は商談時に有利に働きます。 バイヤーは良い情報をくれたメーカーのことは忘れません。
以下に商談時にバイヤーが知りたがっている情報をまとめましたので、ご参考になさってください。
1.安心安全(衛生管理、ISO、HACCP等) 商談時に確認するのは安心安全です。自社の今の衛生基準が何に適合しているのか、明確に取引先に伝えられると効果的です。商売をしているとクレームが起きます。対応次第では、クレームなのに逆に取引先での評価が上がったりもします。安心安全の延長線にあるクレーム対応もうまく対処できたとアピールするのは、有効です。
2.価格 なぜその価格なのか。原材料や物流費、人件費、控除経費金利等まで、営業マンが説明できることは大切です。コストカットの手法を明らかにして利益を削られる可能性もありますが、逆に共有することで、今まで見えなかったやり方が見え、良い関係ができることがあります。
3.トレンド(健康、認証商品(MEL、ASC、MSC等)) 認証等の把握・理解も重要です。会社が大きいほど敏感で、マーケティングもしっかりしていますが、バイヤーやMDには理解していない方がいます。様々な分野ごとに認証があります。持続可能な原料であること、社会的に配慮している商品が中心ですが、これらを勉強するだけでも時代の流れがわかります。 認証を含めた外部情報が入る環境は重要で、商談相手に「ここはちょっと違うな、情報を持っているな」と印象付けられます。また、認証は経費がかかると思われがちですが、管理手順に基づいて調査をしたことで、経費を削減できた例もあります。認証取得の勉強は、経営者や幹部の責任として重視されるべきです。今後、認証は持っていて当たり前になるだろうと思います。早めに取得すれば、将来のコスト削減や競争の場で優位に立てます。
4.差別化ポイント(類似商品との違い) オリジナル商品は強いかもしれませんが、皆様方の商品も、こだわりがないのではなく、特性に気づいていないだけという場合もあります。自社商品の強みや弱点を理解し、類似商品に対しては、どのように優位なのかを伝えてください。類似商品は見ておくと、視野が広くなります。また、展示会では思わぬジャンルの会社から話をかけられることもありますが、それはチャンスです。既存とは違う領域からヒット商品が出ることもあるので、そういった声には応じた方が良いと思います。 名刺交換したら、話した内容はメモして1秒でも早くメールしてください。我々はメールを全て見ますが、バイヤーが展示会で名刺交換する数は一日100枚ほどと量が膨大なため、本文に「こんなお話をさせていただいた誰々です」とあれば、思い出しやすいです。また、展示会場でバイヤーがちゃんと話せるのはせいぜい1日5件。商談時に何件目ですかと聞いて、5件以内だったら乗り気だと思ってください。
我々MDが商談の際にどんなことに困るかということをまとめました。
1.権限が商談者に無い 商品アピールはできても、数量や価格等、具体的な内容の決定権がない営業マンが商談にいらっしゃった時。商談に時間がかかってしまって、結局は決まらないことが多いです。
2.返答を持ち帰り、後日連絡 返答を持ち帰り、後日連絡しますという営業マンは、定期連絡・商談にならないパターンが多いです。一方で有用な情報をしっかり持ってきてくれる人は、良い商品を出してくれる人と同じくらい、大切にされる可能性が高いです。
3.サンプルとの違い サンプルは一番良いもの、悪いもの、真ん中のものの3つのパターンを用意してください。それで、その会社のアドバンス幅がわかります。お互いの目線合わせの基準作成を商談時にできると良いと思います。
4.一括表示や食品衛生等の知識が少ない 一括表示や食品衛生等の知識がない営業マンも困ります。今は原料もアウトパックも、法律的に複雑になってきています。営業マンには、法令改定や最低限の表示知識は持っていただきたい。品質管理と営業の考え方が一致しているところこそ、良い企業だと考えます。
展示場や商談の場では商品以外にもこんなところを見てどんな会社なのか評価しています。
1.展示会で自分のブースに人が集まっている時、いない時の対応 同じ相手とばかり話していたり、ずっと携帯を見ていたりしているのは、よくありません。声をかけにくく、そのブースに寄りにくくなります。
2.商談中にメモをとっているか 商談中のメモは相手からよく見えています。大きな字で見やすく、重要なところにチェックを入れる等でアピールをしてください。これだけでも印象は変わります。
3.部下、従業員への対応 部下従業員への対応、口調等で見えるものがあります。部下を上手に育成しているなとか、人間関係ができているのか等。会社の印象もそれで決まります。
4.自社製品を食べているのか 自社製品を調理したことがあるのか 自社製品を営業マンや経営者が食べているか、自分で料理しているかも見ます。調理しないとわからないことは多く、「タレを取らないと焦げます」といった話が一つ入るだけでも、ちゃんと自社商品に向き合っていると感じます。できれば、自社商品だけでなく、競合商品の調理・試食経験もあったほうが良いと思います。
バイヤー、MDは商品だけでなく、企業や人を見ています。また、認証等トレンドにも注目し、新商品、新しい文化を積極的に取り入れたいと考えています。新たな領域に儲けは眠っていますが、目新しいことをやれというのではなく、既存品のブラッシュアップも大切です。 自社の看板商品、圧倒的差別化商品を作り、自社の強みを理解して新たな時代を切り開く人材を育ててください。この先、我々も商売がしやすくなっていくと思います。
令和5年7月20日(いわき市)と7月24日(福島市)に「東北復興水産加工品展示商談会2023」の出展に向けた事前セミナーが開催されました。 本セミナーでは、「バイヤーはどんなところを見ているのか?商品開発のポイント」をテーマに、バイヤーならではの着眼点、インターネット事業での注意点についてお話しいただきました。
福田屋百貨店は栃木県を中心に3店舗を展開し、90年以上の歴史を持つ老舗百貨店です。2000年からECサイト運営を開始しました。自社のオリジナル電子マネーも早い時期から導入し、ハウスカードの会員は約30万人で、近年はWEB販売で売上を伸ばしています。 私自身は昭和63年に株式会社福田屋百貨店に入社。婦人服店舗のマネージャー、バイヤー、婦人服事業部統括マネージャー、本店宇都宮店副店長を経て、平成28年よりWEBインターネット事業部長を務めています。自社での経験を活かして、現在は事業者の6次化支援、EC化支援、ヒット商品の開発のお手伝いを行っています。
コンセプトが明確な、唯一無二の商品。これは魅力的です。ターゲット、ストーリー性等がポイントです。また、自社の弱点を補ってくれる商品、例えば、弊社は栃木県にあることから海がないので新鮮な魚がなく、そういった商品に関心を持ちます。 ターゲットが明確だと、バイヤーは考える必要がないので悩みません。今は商品をどう売るか等、自分で考えないバイヤーが増えていますので、生産者の方からお膳立てしてあげれば良いと思います。
令和3年6月から、原則として全ての食品事業者はHACCPに沿った衛生管理が必要となりました。最近は国際基準のISO 22000やその他の資格を取る事業者も増えています。しかし、検査の時だけで、後は基準が緩んでしまう会社があります。食の安全を脅かす事故を起こしたら、全てを失います。また、品質低下はお客様もバイヤーも敏感で、「味の質が落ちた」という声で弾かれる場合があります。 お客様は、なぜ高いお金を払って国産商品を購入するのか。味はもとより、食の安全も一緒に購入されているからです。お客様の期待を裏切らない企業としての姿勢、品質や味を落とさず作り続ける継続性が大切です。
担当する品目によってバイヤーは視点が変わります。生鮮加工品担当バイヤーは、加工内容、味、パッケージ、添加物、ネームバリュー等に注目し、またギフト担当は、商品のパッケージ、サイズ、価格等、ギフトの規格にあった基準で仕入れます。商品の中身が見える加工品や、添加物が少ない商品も好まれます。会話の中で「この前のあれは良かったよね」とか、「どこどこの商品は良い」といった言葉も重視して提案に活かしてください。 商談等で一番ダメなのは、おざなりで作成した提案書です。バイヤー側は販売にあたって厳しい基準で品質を維持しているため、基本となる提案書の内容がいい加減だったり、コピー&ペーストで作って写真の差し替えだけ等、やる気が見えない対応だとその時点で弾かれます。 また、商品への取り組みに関して、上から目線では絶対うまくいきません。作り手・買い手の役割をしっかり考える姿勢が必要です。言葉遣いが悪い、自社商品を一番だと思っていて商品改善のアドバイス等、受け入れないのも考えものです。電話やメールの対応も見ています。上には上がいます。皆さん、上に負けず劣らずのレベルだと思いますが、さらなる努力をしていきましょう。 このほか、不衛生な感じがすると、すぐ取引を停止します。常日頃から清潔に努め、工場等にバイヤーが来る場合は、一層身を引き締めて対応してください。
弊社はEC化支援、ヒット商品の開発のお手伝いも行っていますが、利用者の方の悩みの一つに、ネット販売を取り入れたが結果が出なくて困っている、ということがあります。 今はWEBサイトを立ち上げただけで、売れる時代ではありません。まずはターゲットを決めて、マッチした商品、価格を設定し、宣伝することが必要です。昔は、新聞折り込み等でしたが、今はSNS広告やSEO対策(Webページを検索結果に上位表示させ、流入を増やすために実施する一連の取り組み)をしたリスティング広告(検索エンジンの検索結果に連動して表示される広告)にシフトしています。自社商品の強み・弱みを分析して、他者との違いやお客様に与えるベネフィットを分析する必要があります。強みを尖らせて、顧客にぶつけて、胸に刺さる提案。これが重要です。 実店舗では、五感を駆使した商品PRができますが、WEBでは視覚にいかに訴えかけるかが重要です。そのために必要なのは、インスタ映えする写真やイメージ、ハートを鷲掴みするキャッチコピーです。WEBでは、潜在層(潜在的なニーズがあるものの、まだ具体的な検討段階には入っていない層)のお客様にはなかなか響きません。ただ、一度でも購入すれば接点ができ、分析・アプローチがしやすくなります。購入を後押しする施策クーポンやサンキューDMは重要です。 弊社は自社のサイトがありますが、それ以外に、新たに売り場からInstagramとBASE(ベイス)を連携して販売しようという企画が出ました。担当者にはやるなら写真も動画も出さないと売れないと話しましたが、結局半年経って全く売れずにやめてしまった経緯があります。ネットショップは簡単に立ち上げられる時代ですが、しっかりと仕掛けを考えながら、展開しないとお客様は来ません。 それから、WEB販売は経営者ご自身や上層部だけではやらないでください。コンサルに依頼したり、社内の若い世代をうまく登用したり、兼業ではなく、専業にしないと上手く行きません。
WEB販売には対応すべき点があります。注意点と対応策を以下にまとめました。
また、このほかに重要なのは、購入者の胃袋を掴むことです。自分で食べて美味しかったものは人に勧めたくなるものです。お試し商品で実感すると、人は贈り物で利用するようになります。お試し等でその人の胃袋を掴みましょう。
初回無料、ワンコイン、送料無料等の謳い文句で、お客様のハードルを下げましょう。買った方とは接点ができて次の施策ができるので、売りやすくなります。 例えば、地元企業のギフト商品が2年間ほとんど売れずにいたことから、フック商品を作りました。フック商品は元の商品サイズの半分以下ですが、1,000円で税込送料無料としたところ、1ヶ月で2,000セット売れました。特典を付け、ギフト時期にDMを出したら、1,000倍近くアクセスが上がり、売れ筋になりました。
色々な売り先があり、仕様があります。中身は変えなくても、パッケージを変えるだけで売り先やターゲット幅が広がります。私がこれまでお手伝いさせていただいた例を以下にご紹介します。 ひとつ目は「黒にんにくはちみつ漬け」という商品。元々商品自体は売れていましたが、もっと若い方にも買ってもらいたいとの相談を受けました。旧パッケージのターゲットは70歳です。そこで、アパレル業界時代の経験を踏まえて、上の年代が下の年代の商品を受け入れる「上の法則、下の法則」を活用し、ターゲットを変更。デザインだけを変えることで、購買層が20歳下がり、ヒット商品になりました。
ふたつ目は、地元のソースメーカーからの依頼。スーパーマーケット等にペットボトルや瓶で販売していましたが、新たな販売先を開拓したいということで、スタンドパックを開発しました。この結果、生活雑貨店やセレクトショップにも売り場が拡大。厚さも3cm以内なので、送料も安く抑えることができるようになりました。
競合や類似品が多い場合、個性や独自性を発揮して提案することが大事です。自社商品の立ち位置=土俵を変更してライバルを減らす方法があります。以下の写真は長崎の五島列島の農業法人の干し芋で、この商品は、お子様をターゲットとすることで初年度2万セットを弊社で販売し、大ヒット商品になりました。
商品開発のポイントは、作り手、売り手、買い手の三方よし。自社商品の魅力を最大限に伝えるためには、深堀りが必要です。求められる要素を把握し、お客様の期待を裏切らない心構えや発想の転換、柔軟性とこだわりを兼ね備える姿勢が成功につながります。それらを念頭において、商品開発に取り組んでいただければと思います。
令和5年7月25日に茨城県神栖市にて「東北復興水産加工品展示商談会2023」の出展に向けた事前セミナーが開催されました。 本セミナーでは、「シェフから見た食材の選定ポイントとシェフ・外食と連携したブランド力の高め方」をテーマにお二人の講師をお招きし、地域の商品の魅力と提案の仕方、また地域の食材を後押しする取組みについてお話しいただきました。
シェフードは地域の特産品のマーケティング、ブランディング支援活動をメインに、商品開発から販売までをサポートする会社です。主に水産加工品や西日本の魚を扱い、飲食店や宅配業者へ供給。専門店や百貨店のテナント支援にも携わっています。基本は食育活動。全国の学校や地域の事業者、子どもたちへの支援をトップシェフと連携して取り組んでいます。また、SDGsの目標にも対応しています。
弊社は通販等に向けた商品開発のお手伝いも手掛けていますが、今回は私の目線での商品提案・販路開拓の流れと成功のポイントをご紹介します。 例えば、「今日は何の日?」のような提案方法があります。私たちは、鹿児島の鰹節のブランディングに携わっていますが、毎月丑の日のような形のキャンペーンを打ったり、子ども向けのイベントをやったりと、日付と紐付かせての工夫を仕掛けています。お魚であれば、水産庁の「さなかの日」のような提案が良いと思います。 例えば、9月17日は「イタリア料理の日」。その日にイタリア料理店で使ってもらうには、どの魚をどう提案しようとか、そういった販売促進の年間カレンダーを作り、いかに旬のものをその時に食べてもらうかという仕掛けを考えます。味や鮮度といった要素だけでなく、販売促進と絡めることで商品価値が上がり、バイヤーやシェフに響きます。 このように、売る側から考えて、どこで使ってもらうか、までを考えるケースが多いですね。 例えば、お店で使ってもらうには、どんな加工をすれば有効か。あり方、売り方を日程まで決めてから、生産者を探します。その時、市場のトレンドや社会性、ストーリーを作りながら展開することも大切にしています。
地元・鹿児島の道の駅でしか売っていなかった「骨取りの灰干サバ」の例を挙げます。 私たちは、この商材のコンセプトワーク(新しくデザインするプロダクトのコンセプトを言葉で明確に表現する作業)を行いました。 作業としては、「全国展開できて、子どもも食べられる商材に」ということで、骨取り加工を行い、1つのサイズは340gと小口にし、パッケージもバージョンアップしました。 ここまででも地元で売れる商品になるのですが、さらに全国展開に繋げるには食べ方がポイントとなります。そこで、私たちはシェフの方々にご協力いただき、表示枠外にQRコードを入れて、家での食べ方提案をホームページで閲覧できるようにしました。 消費者は、知らないものは手に取らないので、いかに食卓に届けるまでの導線を作るかというところが肝心になっています。商談会等で聞いたバイヤーの生の声を商品に反映して、消費者の食べるところまでをコーディネートしてあげることが、今後の売れる商材には必要です。 アイディア止まりの商品が多い中、いかに出口や販路を見据えてお客さまの立場で考えるか。商品を買ってもらうだけでなく、この事業者と何か一緒に仕事をしたいなと思わせるストーリーも含めて、共感してもらえるかというところが大切です。私たちがよく行うのが、朝ご飯向けとか、お弁当にとか、ライフシーンを想起させるものは、目立つし、印象に残ります。
商品そのものも重要ですが、大切なのはお客様目線です。今は、事業者側も消費者も、一つ手間をかけられる1.5次加工的な商品が求められます。展示会・商談会シートに、そこをしっかり書き込むこと。特に我々バイヤーやシェフは、ターゲット、利用シーン、商品特徴、メッセージを重点的に見ます。 あらかじめ、商品や出展企業については調べますが、商品や会社ホームページにメッセージ等が書き込んであれば、理解や共感が深まり、さらに、補足の資料があるとより響きます。
21歳で料理の世界に入り、各国の料理の修業を経験する。1988年に浅草ビューホテル・イタリア課「リストランテ・ラ・ベリタ」へ入社し、1992年に「トラットリア・ブッチーナ」のシェフとなる。1997年に鉄人・坂井宏行氏の経営するイタリア料理店「リストランテ・ドンタリアン」でシェフとして迎えられる。1999年に「オステリア・イルピッチョーネ」のオープンシェフとして勤務。2008年に「オステリア・ラ・ピリカ」の総料理長として勤務。2013年より「タベルナ・アイ」オーナーシェフとなり、現在に至る。
シェフは、できるだけ地域の特徴あるものを食材に使いたいと考えています。例えば、鹿島灘ですとマルガニだったり、ハマグリだったり、そういう地域商品の売り出しが意外と少なく感じます。今日も海鮮丼を食べましたが、地元のものが一つも入ってなくてショックでした。地域を活かす商品に、私たちは魅力を感じます。 ブランド鯖等はもうありますが、地方には知る人ぞ知るすごく美味しい物があるはずです。でも、地元で消費されるのみで、私たちには回ってきません。そういったブランドをどう作るかが課題だと思います。湘南で生しらす丼がすごい売れています。でも、しらすは大洗が先です。つまり、売り出し方。それをどうやって取り組んでいくか。メディアを利用するのも良い。地方の方々はシャイですが、そこをうまく発信できればと思います。
今、一番私たちが困っているのが人手不足です。人手が足りなくて休業したり、ランチを休むお店もいっぱいあります。一方で産地の方々も同じく人手が足りず、フィレ(切り身)にして届けてくれと頼んても、手間が増えてしまうと断られてしまいます。 しかし、もしフィレ素材を真空にして冷凍で届けてくれれば、互いに時間に縛られません。現在は冷凍魚の仕事をしていますが、IQF凍結だととても鮮度が良い。熟成肉のように、魚も熟成させることで味がすごく引き出されますが、それを冷凍すればアニサキスも駆除できます。もしサイズの問題で売れない素材があれば、焼いてほぐして真空パックにしてもらえば、こちらも人手をかけずに、パスタソースや炊き込みご飯、チャーハンに活用できます。お肉でも決まったg 数でカットして真空パックしている商品は増えていて、ホテルでも半製品を利用する時代です。イタリア料理でもフォン(出汁)を取るので、売れないサイズの小魚を潰して魚のブイヨンにするとか。互いに困っていることを相談できる機会を作り、こういったことを一緒に考えながらやっていければ良いと考えています。 また、私たちはその店ならではのものを作れ、とよく言われます。例えば、銚子は醤油の街だから、醤油を使った水産ものを作るとか。イワシをオリーブオイルとレモン汁で漬け込んで骨が気にならなくするとか。また、ヒラメで勝負するなら、そのヒラメをアニサキス対策で冷凍します。皆様のためにフィレにする等、そういった一工夫で、お客様に手に取ってもらえるように知恵を出し合うと良いです。もし自分たちとは違う目線の意見が必要であれば前述のシェフード等を利用するのも手だと思います。 皆さんから要望があれば、私たちは料理人として考えますし、シェフードも50人ものメンバーがいるので知恵を出し合えばできる。どんどん言っていただき、広げることが大事だと思います。
①地域の特長、特色を売り込む
②外食事業者の課題解決に寄り添う ⇒安心・安全の提供、衛生管理(食中毒、アニサキス対策等) ⇒物流2024年問題 ⇒仕込み時間等の簡便化、時短 ⇒人材不足 ⇒店舗スペース
③「ひと手間」をかけているか ⇒フィレ、卸し加工、麴等下味を付ける、真空包装、特殊冷凍 等 ⇒おまかせ〇〇円パックではなく、ニーズに合わせたサービス
④フードロス対策、低利用・未利用農林水産物の有効活用
⑤感動させる要素(ドキドキ感、ワクワク感、ナニコレ?感) 等