令和3年9月27日に、「バイヤー視点での商品提案、商品開発のアドバイス」と題して、オンラインセミナー第3弾が開催されました。
「ミッションー世界の食をもっと楽しく」と、「ビジョンー生鮮流通に新しい循環を」をモットーに、今までの流通とは別の方法で消費者に水産品をお届けすることを目指し、飲食店向け生鮮品卸売ECサイト(魚ポチ)、こだわり生鮮品ネットスーパー(perrot)、鮮魚小売店(sakana bacca)、フード業界に特化した人材紹介サービス(フード人材バンク)を展開しています。
日本全国の産地と提携して直接仕入れを行う一方で、飲食店側がインターネットで簡単に購入できるようなサービスを展開しています。 本サービス最大の特徴は、単に商品を掲載するだけでなく、産地の仲買人から①いつ水揚げされたものか、②どういった漁法でとられた魚か、③魚の下処理はどうしているか等の情報を伺い、サイト内へ掲載しています。
本サービスの主な顧客データは以下のようになっております。
中小規模の「和食」「洋食」ジャンルの飲食店が主要な顧客層
今回は生鮮卸売ECサイトである「魚ポチ」の冷凍品・加工品の販売実績から、どのような商品が売れているかの分析をしてみました。
1つ目は、「季節物」です。 中小の飲食店が大手の飲食店に対抗するには、小回りをきかせて、新しさや今しかない商材を提供したいと考えていることから、春はホタルイカ、初夏はイサキ、入梅時はイワシ、冬はカニ等、年末に限らず季節物は最も好まれる傾向にあります。 なかでも冷凍加工品は、月間ベースで固定して仕入れを決められるという魅力があり、年末の忙しい時期は特に、月間の看板メニューを決めたいというニーズに適した商品であると感じます。 しかし一方で、サンマ商材を例にすると、9~10月はニュース等に取り上げられることで販売数は増加しますが、11~12月には年末の支度を始める時期であることから発注数が激減するなど、季節物は需要の起伏が激しく、仕入れ判断が難しい商材であるといえます。
2つ目は、「定番品でも手間が減らせる商材」です。 例えば、煮穴子は店舗で仕込みからされる顧客もいますが、冷凍煮穴子であれば、年末の繁忙期にも手間を省くことができ、売れ筋商品となっています。 冷凍ウニは仕込みの手間こそありませんが、年末に相場の乱高下が激しい商材であることから、仕入れ予測の手間を減らせるといった利点があり、年末は特に需要が高まる商材です。
3つ目は、「規格」と「単価設定」です。 都内の飲食店はキッチンの規模も小さく、冷凍庫をお持ちでない方もいらっしゃるため、即日または当日に使いきれる量として、100〜500gの小さめの規格が好まれやすい傾向にあります。 さらに、買いやすさの面から見て、パック単価1,000円以下であれば比較的購入がしやすい価格であると考えています。
また、小分けしたチルド品の需要も増えています。 ズワイガニフレークの事例で言いますと、チルド品と冷凍品では、価格的には冷凍品のほうが安いため、需要が多いと予想してましたが、結果はチルド品が多く売れています。 これは、調理現場での手間を減らせるという点で、根強い人気があります。 この他にも、塩かずのこや紅すじこ等などの事例もあります。 市場に届く塩数の子製品の多くは、3KG、5KGと市場流通の規格で入ってきますが、その規格をそのまま購入できる飲食店が少なく、小分けをしながら販売することで多く販売できたという実績があります。
コロナ禍による時短営業要請によって、ランチのみで営業されている飲食店や、新たにテイクアウト・デリバリーに挑戦する飲食店が増えています。 時短営業による食品ロスへの危機感および仕込みの時間が短縮されたという観点から、生鮮品の注文は減少し、テイクアウト向けの冷凍品の需要が増えました。
食品ロスの削減というところから、小分け商品の強化、さらには日持ちするように真空処理等がされている加工品が求められています。 ただ、首都圏は新型コロナウイルス感染症の影響が大きいものの、影響の少ない地方では、お得な大量購入のニーズもあります。
バイヤーの視点でどのような商品提案が有効かというと、もちろん商品のストーリーも重要ですが、最初の取っ掛かりとしては、一覧性の高い見積もり提示が重要であると考えます。 相場変動が激しい商品であっても、月数回程度の見積提示をすることで、バイヤー側も目を通すきっかけとなる等、適切な情報発信をすることも重要であると考えています。
※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。