令和元年8月21日に第21回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」にて「復興水産加工業等販路回復促進事業の概要及び復興水産販路回復アドバイザーによる取組事例紹介」というテーマでセミナーが行われました。実際に現地で加工屋さんに指導をおこなっている復興水産販路回復アドバイザーから、取組事例の紹介を行っていただきました。
提坂氏より平成30年度復興水産加工業等販路回復促進事業の取組内容について説明がありました。 概要についてはこちら(平成30年度復興水産加工業等販路回復促進事業の取組状況について)を参照ください。
島本氏は復興水産販路回復アドバイザーとして、前職で培ったネットワークを活かして、製造者と百貨店等の売り先のマッチング、新商品開発、展示会での見せ方等についても助言を行っています。そんな島本氏が普段アドバイザーとしてどのような指導を行っているのかに加え、そのアドバイスによる成功事例の紹介を行っていただきました。
まずは、下記8項目を中心に相談者の現状をヒアリングし、売上回復を阻害している問題点を見つけ、その上で、問題を解消する方策を導き出し、アドバイスを行っています。
アドバイスにより課題が解消された結果、成約に至ったなど成功例を紹介していただきました。
【課題】 個別商談を希望していた先から断られてしまい、対応に苦悩していた。
【解決方法】 ① 復興水産販路回復アドバイザーの人脈によるフォロー ② 商談会の活用方法をフォロー ③ 商談前の事前・事後のアドバイスを実施
【結果】 希望商談先と契約成立!歳暮ギフトで約150万円売上計上
これは、「復興水産販路回復アドバイザー」による商談に係るサポートを受けた事業者の成功事例の一つです。 商談を希望した先に断られたと相談を受けますが、その希望商談先はたまたま「アドバイザー」と繋がりがある相手だったため、「東北復興水産加工品展示商談会」において、別途商談の機会が設けられることになりました。 また、「東北復興水産加工品展示商談会」では、他の商談会にはない「企業プレゼン」の時間があります。このプレゼンへ内容についてアドバイザーより助言。相談者は、アドバイスを活かしこの場で商品のことをしっかりとアピールしました。 その甲斐あって、商談先のバイヤーにも熱意が伝わり、当日の商談をうまく進めることが出来ました。そしてその後も、企画書作成相談や要望に応じた商品改良(原料見直し)など、アドバイザーがフォローを続けた結果、無事に契約成立。もし商談を希望した先に断られたとしても、あきらめずに一度「復興水産販路回復アドバイザー」へ相談してみるのも手かもしれません。
【課題】 展示会に参加しても足を止めてもらえることが少なく、ブースの展示方法に悩んでいた
【解決方法】 復興水産販路回復アドバイザーが、陳列についての指導及び展示会当日の手直しを実施
【結果】 復興水産販路回復アドバイザーの指導により展示方法が改善された結果、成約数倍増
相談者は、展示会に熱心に参加をしていましたが、展示に関しては、テーブルに商品をただ並べるだけで、立ち止まって見てもらえることが少ない状態でした。 そこで、「商品の展示の向きを人の流れに合わせて変える」、「売り出したい商品のイメージに合わせて、竹ざるや漁に使う網など商品以外のアイテムを一緒に展示する」などのアドバイスを行い、その結果、訴求コンセプトが明確かつ見やすくなり、ブースの前で足を止めてくれるお客様が増加。 見事、いつもの倍の件数の成約に結び付く結果となりました。
復興水産加工業販路回復促進センターが派遣する「復興水産加工業販路回復アドバイザー」は、島本氏のほかにも、豊富な支援実績のある方々で構成されており、「新商品を作りたい」「消費者が望んでいるものは何なのか」「展示会に出たい」などの悩み・疑問に応じます。販路回復のことで悩んだら、まずはアドバイザーにご相談下さい。現地に出向き、課題解決の第一歩に向けたお手伝いをします。ぜひご活用ください。※1 ※2
※1 アドバイザーによる相談に関する費用は一切かかりません。 ※2 取り組み状況に応じて、複数回の現地相談が可能です。
詳しくはこちらをご確認ください。
令和元年8月22日に第21回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」にて「水産物の放射能調査について理解を深めるために」というテーマでセミナーが行われました。放射能についての基礎知識や、最新の水産物のモニタリング結果を交え、放射線リスク等について説明を行っていただきました。
放射性物質とは、放射線を出す物質のことです。自然界でつくられる放射性物質もありますし、人工的にのみつくられる放射性物質もあります。
また、食品等に含まれる放射性物質の量をベクレル『Bq』で表し、ヒトが受ける放射線の影響は、シーベルト『Sv』で表します。
そのため、ヒトが受ける放射能の影響を計算するためには、下記の計算式を用います。同じ放出量(100 Bq)でも、放射性物質の種類によってヒトに与える影響は異なります。
食品の国際規格を定めるコーデックス委員会では、食品より追加的に受ける被ばく線量を年間1mSv以内と定めており、日本やEU等でその考えが採用されています。
飲料水については、世界保健機関(WHO)の指標に沿って、基準値を10Bq/kgに設定しており、飲料水由来の線量の上限値を約0.1mSvとしています。食品の線量の上限値は、飲料水の上限の約0.1mSvを差し引いた約0.88~0.92mSvとなります。(参考文献:放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料平成26年度版(環境省, 2016))
東京電力福島第一原発事故で放出された半減期が1年以上の放射性物質のうち、セシウム以外の放射性核種は検査に長い時間を要すため、放射性セシウム以外の放射性物質を考慮した上で、比率が高く、測定の容易なセシウムを指標として基準値が設定されています。
飲料水を除く食品の線量の上限値(0.88mSv)を超えないよう、以下を前提として放射性物質濃度の限度値を算出し、基準値を設定しています。
最も線量の影響を受けやすい世代・性別(13~18歳・男性)において、上記の条件を踏まえ、限度値を120Bq/kgと算出し、これをさらに安全側に切り下げ、基準値を100Bq/kgに設定しています。
すなわち、食品の基準値(100 Bq/kg)は、放射性セシウム以外の放射性物質の影響も含め、すべての世代の計算結果を考慮して設定されています。
海産魚類で放射性セシウムは、他の塩類とともに体外にどんどん排出されるので、海水の放射性セシウム濃度の低下とともに魚体内の放射性セシウム濃度も下がっています。
また、放射性セシウムに汚染された海底土を用いた飼育試験の結果から、放射性セシウムに汚染された海底土から基準値を上回る濃度に底魚類が達することは難しいことが分かりました。
海底土における放射性セシウム濃度の低下は2015年以降鈍化していますが、直接または底生生物を介して間接的に、魚が汚染されて基準値を超える状況になることは考えられにくいことが分かっています。
セミナー会場で配布された冊子については下記サイトからPDF版を無料でダウンロードできます。
令和元年8月23日に第21回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」にて「水産加工品ジャパンハラルビジネスフォーラム2019」というテーマでセミナーおよびパネルディスカッションが行われました。3部構成で東京オリンピック・パラリンピック大会の調達基準やハラルビジネス等について説明を行っていただきました。
来年7月24日~8月9日まで第32回オリンピック競技大会、8月25日~9月6日までパラリンピック競技大会が東京で開催される。この大会では下記の5つの柱で広がりのある取り組みを進めています。
この5つの柱のうちの「持続可能性」とは「環境」「社会」「経済」の3つが調和することで持続的に発展する状態のことです。2015年9月の国連サミットでも持続可能な開発目標(SDGs)が採択されるなど、世界共通の目標となる中で、オリンピック・パラリンピック大会でも持続可能性の配慮が必要とされています。
水産関連においてオリンピック・パラリンピック大会に関連することと言えば食材等の調達です。組織委員会では、調達するモノやサービスについて、原材料の採取から加工・流通・提供に至る供給過程全体で持続可能性が確保されるよう求めており、その基準等については「東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード(第3版)」にまとめられています。
水産物等の調達基準としては、食品としての安全性だけでなく、生産段階における環境負荷の低減や労働安全の確保等への配慮も求められます。具体的には、下記のような要件があります。
上記①~④を満たすことを示す方法として、下記の4つがあります。
「ビジネスチャンス・ナビ2020」とは、中小企業の受注機会の拡大を目的に立ち上げられたポータルサイトで、運営主体は中小企業世界発信プロジェクト協議会です。日本国内の事業者であれば登録可能(無料)で、自分たちが生産・販売している品目や数量、認証の取得状況等について掲載することが出来ます。民間事業者同士のマッチング機能もあり、バイヤー側事業者が、供給を希望する生産者等を公募することも可能です。
「ビジネスチャンス・ナビ2020」に登録し、認証等への対応状況を掲載することで、オリンピック・パラリンピック大会の調達に参加するチャンスが拡大します。認証品に対するニーズが高まっていく中で東京大会に関係なく、新たな受注・取引につながる可能性も大いにあります。
※MICEとは、Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨・招待旅行)、Convention またはConference(大会・学会・国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語
寿司(SUSHI)は世界一有名な日本語で、イスラム圏でもスーパーや日本料理店、空港などでも寿司を食べることが出来る。しかし海外での寿司は日本人が思い浮かべるいわゆる生魚の寿司ではなく、あらゆるものがネタになり独創的な進化を遂げている。
SUSHI関連の食材をインバウンドや輸出すると、以下のような商材があり、このうち、日本固有の醤油、味噌、酢などの基本調味料については、ハラル認証商品でなくても使用できるものがある。
インバウンド、アウトバウンドで売上を伸ばすためには「外国人に強くなること」が大切。世界には食に信念や制限を持つ人が多くおり、ハラルのほかにもオーガニック、ベジタリアン、アレルギー対応など多様性に寄り添った食品、製品の需要が今後拡大していく。ハラル以外にもそれに隣接する分野も取り込むと市場が大きくなる。
ハラールでもハラームでもない「シュブハー」(疑わしい)なものをどちらか明確にするのがハラール認証の目的であり、認証を受けたものには「ハラールマーク」をつけることが出来る。
マークは認証機関によりデザインは異なるが、アラビア文字や英語で「ハラール」と書いてあるという点は共通している。 商品には宗教上での問題がないという保証であり、ムスリムの商品者の安心・安全・信頼となる鍵。
ハラール認証機関は国によって状況が異なり、インドネシア、マレーシア、シンガポールは国が認めた機関のみで、アメリカ、オーストラリア、日本などには複数の機関がある。国内には現在30ほどに認証機関が存在する。(インドネシアやマレーシアのハラール認証機関と総合認証を取得している団体は10以下ほどあります) 認証については右図のような流れで行われ、日本国内の機関で承認申請を行った場合、ハラール認証を取得するのに必要な期間は、規模、商品数、難易度、各準備にもよるが1~3か月程度。 事前監査の時点で改善点を提示し、それらがクリアできれば、本監査で再度チェックを行い、基準を満たしていれば晴れて認証を受けることが出来る。有効期限は1年間となる。
世界共通語となっている「SUSHI」。この寿司に関連する調味料を製造しているメーカーからはハラル対応の状況や国内外での展開を、またムスリムの方からは水産品に関する嗜好について、それぞれの立場からお話を伺いました。
【パネリスト】 エスビー食品株式会社 営業グループ 業務用営業部 業務用企画ユニット ユニットマネージャー 福田 敦氏 ヤマサ醤油株式会社 東京支社 国際部 貿易課 担当課長 土部 充氏
【ファシリテーター】 ハラル・ジャパン協会 代表理事 佐久間 朋宏氏
【オブザーバー】 筑波大学 大学生(ムスリム) Shahirah氏、Ummu氏 日本アジアハラール協会 調査員 キキ カスアリ アリフィン氏
①エスビー食品株式会社でハラル対応商品として取り扱っている「小袋ねりわさび」について国内外の状況を説明致します。 生鮮の「わさび」自体はハラルですが、食事と一緒に出される「ねりわさび」は加工食品のため、ムスリムの方にとって食べていいのかどうかの判断がしにくいことが難点でした。それならば、小袋にして表示がついた状態で提供したほうが利用者にとって明確で分かりやすいと考え、小袋の「ねりわさび」で日本のハラル認証を取得しました。 この「ねりわさび」は、常温でも1年半日持ちする特性があるため、お弁当の添付品としても利用していただいたり、また、ホテルの朝のバイキング等でお寿司屋やお蕎麦のとなりに「ご自由にお持ちください」という形で置いていただいています。 原材料も英語で表記されているため、外国人観光客の方も手に取って何が入っているかしっかり見てもらえる点も評価されております。 このほか、国内の航空会社でも日本から海外に向けの便の機内食で使用されています。海外向けの「ねりわさび」はハラル認証を取得していませんが、チューブの「わさび」は世界60か国で展開しており、アメリカ、ヨーロッパ、中国などそれぞれの言語に合わせて表示を変えています。どの地域に行ってもいつも使っている「わさび」として安心してもらえるように、パッケージデザインは全世界共通となっております。
②たくさんのお客様が海外からいらっしゃいますので、そういった方々に安心して食べていただける商品づくりを続けていきたいと思います。
①ヤマサ醤油株式会社でハラール対応商品として取り扱っている「本醸造醤油」について国内外の状況を説明致します。 国内ではムスリム向けの対応を始めているラーメン店、居酒屋、大学の学食などを中心にお問い合わせをいただいています。 海外への輸出に関しては、東南アジアのイスラム圏(マレーシア、インドネシア、シンガポール)、中東(アラブ首長国連邦、サウジアラビア、カタール、クウェートなど)でハラール対応が要求されます。 原材料の配合が複雑になるほど、ハラール性の担保が難しくなるため、現状はアルコールを使用しない醤油を中心に展開しており、日本およびタイの工場で作っている醤油の一部にハラール認証を取得しています。但し、国毎に認証機関が異なり、必ずしも一つの認証で全ての国をカバーする事はできません。
②海外ではムスリム市場が大きくなり、日本食外食の利用頻度や購買力も上がっているため、引き続き、東南アジアのイスラム圏、中東等の地域への販売にも注力していきたいと考えております。 又、国内の業務用市場においては、飲食店様はムスリム向け専門に特化してしまうとラマダン(断食)とレバラン(断食明け休暇)の時には人が来なくなってしまうので、顧客の間口を広くして日本の人も利用するような店づくりをする事が望ましいであろうと思います。
どのような寿司ネタが好きか教えてください。
シーフードショーでは、まぐろ、サーモン、カツオのたたきを食べました。たたきはスモーキーでおいしかったです。 マレーシアでは、アナゴの白焼きをよく食べる。かば焼きだとタレに何を使っているのか分からないため、安心して食べられる白焼きを選びます。
シーフードショーでは、マグロやカツオのたたき、さばのから揚げを食べました。サバはマレーシアにもあるので安心して食べられます。 マレーシアの回転すし店では、海鮮はあまり食べず、たまご、かっぱ巻きなどを食べています。日本の寿司ネタは新鮮でびっくりしました。
寿司は今でこそ大好きですが、最初に日本に来たとき、生の魚は食べられなかったので、カキフライや、いか天、エビ天を食べていました。周りからマグロやサーモンがおいしいよと勧められ、食べてみたらおいしくて、そこから刺身が好きになりました。 わさびと醤油をつけて食べるほか、アナゴの甘いたれもつけて食べます。インドネシアの友達を日本の回転すしに連れて行ったら、おいしさ、価格の安さ(現地の半値程度)に驚いていました。 刺身好きになったので、タイに行ったときに刺身を食べてみたら、気候の違いで味の感じ方も変わるためか、全然味が違いました。初めて食べる刺身がタイやインドネシアで作られたものだとしたら、刺身を嫌いになってもおかしくないと感じるほどの差だったので、刺身は日本で食べるべきだと思いました。 寿司にも使われる海苔について、インドネシアではその独特の磯の香りが苦手という人も多いですが、韓国のりなど味をつけた製品であれば、香りがマスキングされるため、ほとんどの人が食べられます。 醤油については、日本特有のものであるので、知り合いは食べる前にアレルギーの表をもらって判断するようにしていました。最近では、ハラル用の醤油が用意されている店もあります。酢は、現地でも使われている調味料なのでハラルかどうか気にする人は少ないです。
インドネシアでは、今年の10月から「ハラル性」を明確にすることが義務化されています。 「ハラル」のものは認証をとり、それ以外はどういったものが入っているか明確に記載する必要があるため、インドネシア向けに輸出を考えている方はそういった情勢にも注目していかなくてはいけません。 また、これからオリンピック・パラリンピック大会を始め、さまざまなイベントが行われる中で、食に関してもいろいろな文化や価値観をもった人たちに触れる機会も増えていくと思いますが、「ハラル」は基本的な部分を守ればそんなに対応難しいものではないということを、このセミナーを通してご理解いただけたら幸いです。
令和元年8月23日、第21回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」において、「ブレイク寸前! 古くて新しい東北お宝「食材」”ホヤ”の魅力・最新動向と活用法」というテーマでセミナーが行われました。「次に来る!」と人気が高まっている「ホヤ」の魅力、バリエーション豊富な活用法を紹介していただきました。
「ホヤ」による東北の振興をミッションに掲げ、ファンとともに「ホヤ」の認知度向上と、消費拡大を目指すネットワークで、「ホヤ」の情報、レシピ、イベントなど、「ホヤ」の情報を発信する活動を行っている。
今年6月に埼玉県の大宮にある東日本の「食」を中心とした地域産品を紹介する店「まるまる東日本」にて「宮城のほや祭り」が開催され、テレビ4社、新聞9社、WEB1社など数多くのメディアに取り上げられました。 また、この「ほや祭り」のイベントは同所でGWに行われた北海道物産展の売上を上回るほど大盛況となりました。 この他にも、NHKの番組「うまいッ!」では、「5つの味を持つ!ホヤ」の回で紹介されたり、ミヤギテレビでは「ホヤ!ホヤ!ホヤ!」という特集番組が放送されたりと、注目度はますます高まっています。 こうした話題性の高さから、都内の飲食店や大手チェーンなど新規に「ホヤ」を取扱う店舗が増えており、売り切れが続出するなど非常に好評です。
「ホヤ」の国内生産量は、震災により一時的に減ったものの現在では震災前を上回る生産量となっています。2018年は生産量調整の形で、宮城県で先行廃棄が行われたほか、種の成育不良などもあり、生産量が少なくなっています。
震災前は、「ホヤ」の消費のうち7割が韓国への輸出で、国内では刺身用として生での流通が主でした。しかし、禁輸措置が解けない中、震災後に初めて「ホヤ」の加工品製造を始めたというところも増えてきたそうです。そういった動きもあってか、国内消費量は震災前の約2倍となり、需要の高まりをみせています。
「ホヤ」の独特のにおいが苦手という方がいます。これは時間が経つにつれ、体内の無臭だった成分を強いにおい成分に変える特性のためです。加工品は新鮮なうちにむき身にするため、そう強く感じることはありませんが、殻付きのままだと特にこれが顕著となります。 このにおいをケアーした殻ホヤも登場。「鮮美透涼ほや」として生産されています。こちらは、一度陸揚げした「ホヤ」はストレスを感じ、海中に戻しても一定期間餌を食べない生体特性を応用し、においの原因のひとつである糞を限りなく少なくしています。
また、ほやほや学会では、「ホヤ」をよりおいしく流通させるため、捌き方、保管方法などを載せた「ほや取扱指南書」を無料で配信しています。(ほやほや学会HPよりDL可能)
「ホヤ」は、カロリーが低くミネラル豊富、さらにアルツハイマー対策に効果があると言われる注目成分「プラズマローゲン」も含まれており、栄養面でも訴求できる食材です。 殻を炒め、香りを引き出したビスクや、ホヤの出汁で作ったラーメンなどバリエーション豊富にアレンジが可能。懐石料理店で「ホヤ尽くし」メニューが作られたりと、様々なジャンルのシェフがほやの実力に気付き始めています。 「ホヤ」の出汁は旨味が強く、他の出汁と合わせることでより美味しく楽しめます。飲食店で使用する際、他店との差別化にも有効です。 多彩なホヤメニューは、その珍しさからSNS映えも狙え、まさにブレイク寸前の食材と言えます。
現在、「ホヤの魅力」を伝えようとする活動は、ほやほや学会だけでなく、自治体、漁協、卸、飲食店、マスコミなど関係者が一丸となって行われています。このセミナーを通してファンとなった方も、是非その一員となっていただき、「ホヤ」の魅力を広げ、盛り上げていきたいとのことでした。
ホヤについてもっと知りたい方はこちらをご覧ください
※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。