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セミナーレポート「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」

セミナーレポート①
「今でも魚には放射性物質が含まれているのか?水産物の放射能調査について理解を深めるために」

平成29年8月24日、第19回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」のセミナー会場において、水産庁主催により、「東日本大震災から6年が経過し水産物中の放射性物質濃度は着実に低下しているが、見えない放射線への不安感は払拭されず、時には風評被害が発生している。今回は、モニタリング結果や基準値、放射線リスク等について理解を深めることを目的とする」セミナーが開催されました。

講師
水産庁増殖推進部 研究指導課
水産研究専門官
藤本 賢

はじめに ・・・ 本セミナーの目的について
放射能測定(モニタリング)結果を判断するには、放射性物質や放射線による被ばくの影響についての知識が必要不可欠です。

水産物の放射能測定検体数の推移と本年度の状況 放射性セシウム濃度は年々下がってきている。 水産物に放射性物質は含まれていますか?

セミナー内容について

  • 1.放射線について、基礎知識のおさらい
  • 2.平成28年末までの調査結果の紹介
  • 3.魚種ごとの放射性セシウム濃度の減少傾向
  • 4.さかなの放射性セシウム取り込み経路
    『現在でも汚染され続けていますか?』
  • 5.放射線リスクを正しく理解するために
当日のセミナー会場

1.放射線について、基礎知識のおさらい

放射性物質とは 実際の被ばく線量を計算してみよう 基準値「放射性セシウム100Bq/kg」の決め方(1) まとめ(1)

2.平成28年末までの調査結果の紹介

水産物の検査結果(全国:106,725点) 海産物の検査結果(福島県:47,576点)

3.魚種ごとの放射性セシウム濃度の減少傾向

魚類のセシウム濃度の変化(3) まとめ(2)

4.さかなの放射性セシウム取り込み経路

さかなの放射性セシウム取り込み経路 海面における放射性セシウム汚染の状況 汚染された海底土からさかなは汚染されるのか? まとめ(3)

5.放射線リスクを正しく理解するために

放射線によるリスクを正しく理解するために

書籍等のご紹介

水産物放射能Q&Aのパンフレットと書籍の紹介

セミナーレポート②「復興水産加工業等販路回復促進事業の概要並びに支援事業の取組事例紹介」

平成29年8月25日に第19回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」にて「復興水産加工業等販路回復促進事業の概要並びに支援事業の取組事例紹介」というテーマでセミナーが行われました。昨年支援を受けた被災地の水産加工業者3社から販路回復・開拓に向けた取組の紹介を行っていただきました。

復興水産加工業等販路回復促進事業の概要

講師
全国水産加工業協同組合連合会
常務理事
提坂 猛
全国水産加工業協同組合連合会  常務理事  提坂 猛 氏

提坂氏より平成28年度復興水産加工業等販路回復促進事業の取組内容について説明がありました。
概要についてはこちら(平成28年度復興水産加工業等販路回復促進事業の取組状況について)を参照ください。

末永海産株式会社 改善への取り組み

講師
末永海産株式会社
代表取締役社長
末永 寛太
末永海産株式会社  代表取締役社長  末永 寛太 氏

末永海産様は、宮城県石巻市で昭和50年より創業している牡蠣、ほや、帆立、海藻(わかめ、ひじき等)を扱う水産加工品製造業者。石巻市及び牡鹿郡女川町にまたがる万石浦に面する旧社屋と工場は、震災による被害で大きなダメージをうけた。また地元生産者の筏も全て流されてしまい、原料の入手も困難な状況となりました。
震災後2ヶ月より比較的被害の少なかった工場から再開したものの、原料不足から商品提供が困難となり、売上が激減しましたが、高付加価値商品づくりを行い、新たな販路を見出してきました。しかしながら、高度加工品等の販売量が増えるにつれ、手作業が増え、生産量が落ちてしまうとともに、主力商品は季節性が高い商材が多く、労働力が必要な時期は集中するものの、震災による人出不足で生産不足となり、積極的な販路展開が困難な状況。これらの課題を解決するため、「復興水産加工業販路回復促進事業」を利用し、販路回復に向けての取り組みを開始しました。

震災後の状況(高度加工品の商品開発) 販路回復における課題 水産加工業等販路回復取組支援事業での取り取組成果
  • ・機器の導入により増産体制が整ったため、既存以外の顧客への営業が可能になり、新規の成約を取ることが出来ました。
  • ・作業の効率化が行われたことで、人員配置に余裕が出来、別の作業に充てることが可能になりました。
  • ・相場が下がったときに一気に原料を仕入れて製造することが出来るようになり、仕入れコストの削減にも役立ちました。

株式会社ヤマヨ 改善への取り組み

講師
株式会社ヤマヨ
鮭鱒ユニット長
成田 剛志
株式会社ヤマヨ  鮭鱒ユニット長  成田 剛志 氏

株式会社ヤマヨ様は、青森県八戸市で昭和8年より創業。八戸で水揚げされる「いか・さば」などの原料を中心扱う水産加工品製造業者。震災による津波の影響で加工場や冷凍工場や所有していた中型イカ釣船が浸水、破損しましたが、自助努力と国の支援によりいち早く復旧。
しかしながら、震災による原発の風評被害や、いか・さばの原料単価の高騰および加工に適したサイズの原料の水揚げの減少という問題が生じました。そのため、原料数量が比較的安定しておりなおかつブランド力のある「鮭鱒」の販売に注力したいと考えましたが、人手不足・機器不備もあり、なかなか生産量が上がらず欠品状態を招いてしまいました。このような状況を打破するため、「水産加工業等販路回復取組支援事業」を利用し、販路回復に向けての取り組みを開始しました。

課題・取組概要 ▲真空包装機 ▲重量選別機 目標数量推移
  • ・人手不足により、従来の販売先からの要望に応えられず、欠品になったこともありましたが、機器整備を進めたことで、既存商品である鮭鱒の定塩フィレ製品の生産能力を高めると同時に省人化を図り、販売先からの要望に対応できる体制づくりができました。
  • ・結果、従来の取引先に加え、新規販売先の獲得も出来、定塩鮭鱒合計の販売数量がアップしました。

武輪水産株式会社 改善への取り組み

講師
武輪水産株式会社 営業部
次長
坂本 直樹
武輪水産株式会社 営業部 次長 坂本 直樹 氏

武輪水産株式会社様は、青森県八戸市で昭和23年より創業。白銀にある第三工場は、震災による津波の影響で事務所や加工場、冷蔵庫が浸水、全半壊した。もともと当該工場では、えびの加工を行っていたが、主力商品をサバ・イカへ転換。
しかしながら、加工に向く大型サイズのさばに恵まれていた2014年の秋までは、フィレ加工やしめ鯖加工をメインとし、なんとか売り上げの減少を最小限にとどめていましたが、2015年秋以降、小型サイズ中心の組成に変わってしまってからは、自ずと生産量も落ち込み、売上も減少するようになりました。
これまで加工原料として取扱ってこなかった小さいサイズの加工が、今後の至上命題となっていました。この課題を克服するため、「水産加工業等販路回復取組支援事業」を利用し、販路回復に向けての取り組みを開始しました。

取組概要 改善前 改善後 取組実施による実証効果の検証結果
  • ・焼き鯖水煮、焼き鯖のみそ煮等を製造し、量販店、スーパー等へ6万7千パックを越える販売を行った。これらは、販売先からも高評価を得ており、今後はこのほかに、しょうゆ味、アヒージョ等シリーズの展開も検討している。
  • ・機器導入により効率化されたため生産時間が短縮され、生産能力が大幅に強化されました。
  • ・パッケージも高品位包装が出来るようになったことで、デザイン性が上がり、商品訴求力もアップしました。

※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。