平成28年1月18日(月)に大船渡プラザホテルにて「販路拡大に向けて、商品に付加価値を!」というテーマで販路拡大セミナーが開催されました。商品開発にあたっては、本物の持つストーリー性や消費動向への注視、流通ルートを考慮した販売価格設定等、具体的な事例を交え分かりやすく解説していただきました。
「いわて銀河プラザ」、「ららいわて」と聞けばピンとくる方も多いのではないだろうか? 岩手県産株式会社はこれらのアンテナショップを運営し、ネットショップ・卸売り等を通じ、岩手県産品の販路拡大を目指した「産地問屋」として本当にいいもの、おいしいものを発信、販売している。 また、より良い商品を求め、月に2~3回程度沿岸企業を訪問している。基本的に本社での商談だが、サプライヤーの要望で現地に出向いての商談も可能で、その後工場視察を実施。未開発商品も多く既存商品を県産品用にアレンジした商品の取り扱いを依頼している。
長年地元で親しまれている商品、岩手らしい商品をモチーフに30~40代女性をターゲットに絞り込み、「pecco(ぺっこ)」※というブランドを立ち上げ、商品改良を行っている。 南部せんべいと言えば昔からある商品で、丸型や田の字型のものを想像される方が多いと思う。しかしこのブランドでは、商品自体の素朴さをきちんと残しながらも洗練された飽きのこないデザインにすることにより、商品力を高めている。
※「ぺっこ」とは岩手のことばで「少し」の意味。 「岩手の美味しいものをぺっこずつ楽しんでほしい」というメッセージが込められています
海外のバルではうまい缶詰がそのまま提供される。これを三陸で出来ないか?という発想からサヴァ缶を開発。 今までになかったオリーブオイルとサバの組合せ、様々な料理への活用のしやすさ、通常の缶詰から漂う生活感を払拭するようなおしゃれなデザインで、三陸産の全国的なヒット商品となった。
岩手県の場合は、水産加工品の取り扱いが多いことから、何かしらの特徴が必要。 そのためには差別化を図ることが重要で、差別化とは“本物”を作ること。 また、インターネットの普及によって、消費者は全国の商品の中から購入する選択肢がある。 ただ単に値段が高いだけでは差別化にはならない。 本物を作り出すまでの工程が重要で、ストーリー性も、商品の付加価値に結び付いていく。
①商流を知ることが重要で、普段の価格設定では難しい。
②重要なのはどんな商品をいくらで流通させるかがポイント。流通ルートを考慮した販売価格・納品価格を決めることが大切。
いわて銀河プラザの平成26年度の売上は5億4,000万円~5,000万円で、全国のアンテナショップの中でも5番目。震災後は一時的に商品を購入して復興に結び付けようと来場者が増加した。現在の来場者は年間40万人まで減少しているが、売上金額は大きく減少していない。 売れている商品には、購入価格、量について共通点が多い。また、首都圏の消費者動向からみると、家族構成が大きく変わってきていることや、働く女性が多くなってきているため、料理をする時間や人数が減っている。必然的に調理時間が短く、すぐ食べられるものが人気で売り上げを伸ばしている。このような消費者動向も注視して今後の商品開発に反映させていかなければいけない。
「近年「健康」がテーマとなった商品が多く出回っているが、いつまでも「健康」だけではダメ。消費者は、美味しさはもちろんだが、利便性も重要視していて、それが付加価値にも直結している。消費者ニーズは刻々と変わってきており、その時々にあったニーズを取り入れた取り組みが必要。」と結んだ。
今回の販路拡大セミナーでは、岩手県産株式会社のスーパーバイザー吉田哲雄氏を講師に、長年岩手県のトップセールマンとして岩手県内の商品をどのように販路を拡大してきたのか、また現在の県産品の現状や商品の付加価値の重要性について説明をしていただきました。 商品を流通に乗せるための商流の重要性、消費者ニーズも大切ですがバイヤーニーズも重要である点について学ぶことができました。
※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。