8月19日~21日まで行われた第17回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」。日本はもちろん世界中からおいしい水産品や、最新機器が集結し、今年も大盛況のうちに幕を閉じました。
同会場で新技術や販売サポートについてのセミナーも開催され、こちらも来場者の興味を引いていました。このセミナーの中で21日に行われた「東北水産加工品の魅力とその販売ルート確立のための方策について」をピックアップしてお伝えします。
セミナーは3名の講師によるディスカッション方式により「被災地の魅力ある水産品」及び「販路回復に関する問題点」について意見が述べられました。
震災後に起業。業務用食材の提供からスタートし、現在はアワビの肝やワカメの不要部位を使ったドレッシング等を商品化し成功を収めた会社や、震災により年商が半減(約7.5億円)したものの、今年度は、通販主体で年商25億円までのばし、新たにスープや野菜を含めた商品開発を行うなど、若手職員の頑張りが功を奏している会社など成功事例を紹介。「新商品開発には、魚×野菜による付加価値や食のトレンド、消費者ニーズを知ること、展示会で話題となっている商品の調査が重要である。」とのこと。
「地元からデータを得て、外に出て行くことが重要。東北での市場は大きくないので西を向いた販路開発が必要。また、輸出を試行する場合は、EUに向くより人口の多い東南アジア向けとすべき。今後の事業展開を考慮する場合、大手商社やJST(科学技術振興機構)の先生方を活用すること、高い給与を出してでも優秀な人材を雇用すること、将来への商品開発を考えた場合若手人材の活用が不可欠であり、東北だけでなく広く人材を募集することが必要である。」など、現場主体のポイントの説明があった。
「震災後、漁港・水揚場・加工場が新しくなったが、販路や売上では格差が開いてきた。JSTの産学連携ノウハウを活かし、被災地の復興を支援していく必要がある。人材の雇用は重要で、魅力ある企業には優秀な人材が集まるだろう。新しいものへのチャレンジやイノベーションのない復旧復興は成長しない。」など研究者目線・技術面からの意見が聞けた。
震災から4年、被災した加工設備も復旧し、これからが本当の勝負時。今後、販路拡大していくためには市場ニーズの把握、外部・内部を含めた人材の活用がやはり不可欠のようです。
※セミナーの内容および講師の所属・役職等は記事公開当時のものです。