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企業レポート 被災地で頑張る加工屋さんをご紹介します

第140回千葉県丸仙水産石田商店

風評被害でやむなく行った値下げが利益を圧迫し続けた

東日本大震災のあった3月11日、憲治さんは市場で地震に遭遇しました。大きな揺れに驚き、工場に引き返すと従業員はまだ仕事の真っ最中。即刻作業を中止し、皆を避難させたのだそうです。その後、状況判断をするために1人で自宅に残りましたが、電気が止まっていたためTVやラジオからの情報も入らず、電話も通じず、ずっと状況が分からなかったのだそう。

「23時ごろにやっと通じた電話は、近隣の同業者からのものでした。“こっちは津波がひどいが大丈夫か”と聞かれて、初めて近くに津波が来ていることを知りました。ウチの工場は海から300mくらいの場所なので心配しましたが、翌日に見に行ったら、ちょうど冷蔵庫の手前で波が止まっていました。ウチより北も南も波にやられたけど、地形の関係で、このあたりだけ波が来なかったみたいです」(憲治さん)

津波の被害はなかったものの、地震で工場の壁が崩れたり、冷蔵庫の中が割れたりの被害はありました。また海外から来ていた技能実習生のほとんどが帰国してしまいました。

震災から数日後、電気が復旧したころには、残った従業員でなんとか仕事を再開することはできたのだそうですが、その直後から風評被害の影響を受けることとなりました。

「震災の2~3日後から製造を開始しましたが、すぐに“放射能検査をしてください”“水の検査をしてください”など次々に要請されました。銚子港に揚がった原料を使うので、表記としては千葉県産だけど、イワシがとれるのは茨城沖でしょう。だから風評被害が大きかったんです。何度も検査をして、一度も国の基準値を上回ったことはなかったけれど、“千葉県産は使えません”と言われて、それまで何十年も商品を納めていたスーパーとの取引を失ったりもしました」(憲治さん)

風評被害の影響で憲治さんは、「これからどうなるんだろう」「今後も商売を続けていけるのだろうか」と不安な気持ちで毎日を過ごしていたのだそう。そして、販売数量を確保するために値下げに踏み切ります。しかしその値下げが、売上がなかなか回復しない悪循環を生んでしまいました。

「今考えるとガマンして値下げをしなければ良かったなあと思いますが、当時は今まで売れていたものが急に売れなくなって、そういう状況が3~4か月も続いて、値段を下げるしかないと追い込まれてしまったんですよね。でも一度値下げしたものを元の価格に戻すのは難しくて・・・。ウチの製品は食べたら絶対に美味しいんだけど、ウチでしかできない珍しい商品というわけではないし、最終的にはやっぱり安いものが選ばれることも多いんです」(憲治さん)

そして風評被害が収まってからも、値段を下げたままでの取引が常態化してしまいました。新規顧客の開拓のためサンプルを積極的に送るなどの営業努力も重ねましたが、今でも売上は震災前の60%程度に留まったままです。しかも最近は原料が減り、価格も高騰。「一番高い良い原料を買う」ことを貫く丸仙水産石田商店にとっては、ますます利益を確保するのが難しい状況となりました。

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