復興水産加工業 販路回復推進センター

 

販路回復・助成事業・アドバイザー 相談の申し込み

企業紹介企業紹介

企業レポート 被災地で頑張る加工屋さんをご紹介します

第139回千葉県株式会社カネジョウ大﨑

原発風評被害を自主放射能検査、原料データの蓄積で払拭

千葉県沿岸部でも大きな被害の出た東日本大震災が発生したのは、代表取締役に就任してから2年後のこと。本社工場も津波に襲われ工場は半壊、1階の事務所は全壊と被害は甚大でした。

「まさに今日発送する予定で机の上に積んであった請求書も津波で流されてしまって。恥ずかしい話ですが地震のあと、お客様に注文内容を確認する作業から始めました。ハード面の被害もありましたが、なにより事務所PCに保管していた顧客データの復旧に大きな労力と時間を要しました」

工場が通常どおり再稼働できたのは、1カ月後。しかし、原発事故の影響で同社の主力商材である北部太平洋産サバの売上が激減。そこで、銚子港からの原料調達を一時あきらめ、ノルウェー産のサバを原料とする商品で売上維持に努めましたが、震災後の3年目の売上は震災前の約50%に落ち込んだそうです。

原料に関する安全、安心への信頼を取り戻し、風評被害を拭い去るために注力したのは、ずっと取り組んできたすべての原料データの積み上げでした。銚子港に揚がるサバは、漁船ごとの違いはもちろん、同じ日の漁でも漁場や潮の流れなどによって、魚体の大きさや鮮度、脂ののりなどはすべて違います。そのなかで加工原料に最も適したサバを調達するため、同社の目利きのプロが、銚子港に水揚げされたすべてのサバを漁獲日・漁船・ロットごとに検品し、データ化。その膨大なデータを冷凍業者から原料を仕入れるときの判断材料とするのです。

「これまで積み上げてきたデータに基づく総括的な情報量と商品提案のスピード。安定した品質の商品を安定的に供給すること。それがうちの強み。その強みを活かしたフィールドで勝負しようと思いました」

そこで同社は、自主的にすべての原料の放射能検査を実施。震災以前は、サバ、イワシ、サンマなどの青魚、サケも扱っていましたが、サバに特化することを決め、徹底的なデータ集積に力を入れます。

また、入庫の際にロットごとにヒスタミン検査を実施。保管された原料は、徹底した温度管理をしながら解凍され、各製品に加工されます。個々の原料のデータ、原料の入庫や製造の記録を日々管理し商品の検査結果をロット番号に紐づけることで、製品から使用した原料までたどりつくことができるトレーサビリティシステムを確立。顧客からの問い合わせに瞬時に応えられるような体制を作りました。

震災から10年が経つ現在も自主的な放射能検査をはじめ、すべての検査を続けています。

▲ サバフィレ加工作業中の工場内風景。キビキビと働く従業員の姿が印象的だった

▲ 「銚子産塩さば」。
脂ののった千葉県銚子産の真サバを使用。
うす味に仕上げているため、
煮つけや竜田揚げなどにも最適。
▲ 原料、放射能、ヒスタミン値のデータを商品それぞれの
パッケージにふられた番号に紐づけ、
問い合わせには即座に対応できる体制を整えている

徹底した品質検査と原料のデータ管理の結果、顧客からの受注も回復しつつありましたが、簡便、即食商品へ消費者ニーズが変化するにつれ、同社の主力塩蔵商品以外に、惣菜商品、油調品などの開発が求められるようになりました。

「商談先よりサバの竜田揚げなどの商品開発ができないかという相談がありました。うちの安定した品質の原料調達力を見込んでくれての話だったので、これは、どうしても取り組まないといけないと思いました」

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
TOP