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企業レポート 被災地で頑張る加工屋さんをご紹介します

第80回福島県株式会社サンエイ海苔

福島県相馬市、海苔の老舗三代目が
スーツで魚市場に現れる理由

工場併設の直売所を持つ、福島県相馬市のサンエイ海苔。金融街を歩くビジネスパーソンのようなスーツ姿で店舗前に現れたのは、同社の社長室長、立谷甲一さんでした。聞けば仕事中はいつもスーツで、魚市場に行く時も同じなのだとか。その理由は、「目立つから」。

工場併設(工場の見学も可能)のサンエイ海苔の直売所前で

▲ 工場併設(工場の見学も可能)の
サンエイ海苔の直売所前で

「魚市場では普通、作業着やカッパを着て、長靴を履きますよね。周りでスーツを着ている人は……、私以外は誰もいません(笑)。でもその分目立つし、自分の顔を覚えてもらいやすいんです。いわばセルフブランディングのようなものです」(立谷甲一さん、以下同)

サンエイ海苔は1947年(昭和22年)創業(当時の名称は「たちや海苔店」)。立谷さんの祖父、立谷今朝太郎氏が創業して70年余りの歴史を持つ老舗です。3人きょうだいの長男である甲一さんは、いずれはこの会社を継ぐだろうと意識していましたが、最初はアメリカの企業に就職するつもりでいました。

2014年にサンエイ海苔に入社した立谷甲一さん。創業者の孫にあたる

▲ 2014年にサンエイ海苔に入社した立谷甲一さん。
創業者の孫にあたる

「私は2010年から4年弱、経営学を学ぶためにアメリカのカリフォルニア州にある大学で学んでいました。当時はそのまま現地で就職するつもりでいましたが、社長(父・一郎さん)から『新しい事業を始めるから手伝ってほしい』と連絡があって、MBA(経営学修士)を取得後に相馬に帰ってきました」

その新しい事業とは、シラスとコウナゴの加工。2014年に入社した立谷さんは、「3年以内にプロになる」と決めてこの世界に飛び込んできました。魚市場にスーツで出向き、顔を覚えてもらおうとしているのも、早く成長したいという思いの表れなのでしょう。

「新しいものと伝統あるものを融合させることは、とても難しいことです。でも私が担当することになったシラスとコウナゴの加工は、これまで当社がやってこなかった未経験のジャンルで、工場も新設されたばかり。まさにゼロからのスタートだったので、むしろやりやすいな、と感じていました」

最初はシラスとコウナゴの違いも分かっていなかったという立谷さんですが、市場にはベテランのスタッフに付いて相場観を養い、工場の運営や営業まで一通りのことを経験しました。

「原料の相場は為替のように毎日変わるので、先を読むのは難しいのですが、数字を見るのは好きなので楽しいです。当社はずっと海苔をやってきた会社なので、新しい事業を大々的に立ち上げる機会は多くありません。とても貴重な経験をさせてもらえたと思います」

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