復興水産加工業 販路回復推進センター

販路回復・助成事業・アドバイザー 相談の申し込み

企業紹介企業紹介

企業レポート 被災地で頑張る加工屋さんをご紹介します

さらなるライン増設で石橋商店一社だけで取引できるように

徳久さんは、今後の課題について次のように語ってくれました。

「今回導入したコンプレッサーはまだ余力があるので、今後は現在手作業で行っている箱詰めの作業を、機械化したいと思っています。輸出に関しては、さまざまな国に対応できる汎用性の高い梱包資材の開発も課題です。国によってナイジェリアでは、段ボールに入っていないと小売りができない、東南アジアでは箱に入れない方がいいなど、それぞれの国によって細かいニーズがあります。その細かいニーズを的確にとらえた加工ラインを整えないといけません」

そうした国ごとの細かいニーズについては、どのように情報収集するのでしょうか?

「毎日の買い付けの現場です。市場に輸出業者、商社の担当者も足を運んできますから、そこでの情報収集がとても大切ですね」

徳久さんが市場に足を運び買い付けを担当するようになったのは、22歳で家業についてから、3、4年後のこと。現在会長の定義さんが病に倒れ、療養を余儀なくされたため、急きょ買付の役割を担ったそうです。

「なにもわからなかったので……、周囲の先輩たちに教えてもらいながら、少しずつ覚えました。昔からこの地域では同業者のつながりが強かったかな、そのおかげで支えてもらいましたね」

力を貸してくれたのは、自分の父親ほど歳の差のある波崎での同業他社の先輩たちでした。その頃の恩義が、今、波崎全体を活性化したい、という思いにもつながっていると徳久さんは言います。

「原発事故後は、波崎港と銚子港では目と鼻の先しか離れていないのに、茨城県というだけで買い手がつかないなどもありました。波崎に生まれて育ったからには波崎をもっとよくしていきたい。銚子と肩を並べて競い合うぐらいにね」

そして、もうひとつ徳久さんには、強い思いがあります。

「将来、息子に明るい未来を感じさせる状態で引き継ぎたいんです。ふたりいる息子は小学校3年生と保育園の年長児。長男は『将来は水産加工屋さんになりたいです。魚が好きだからです』と作文に書いてくれたんですよ」

とうれしそうに話す徳久さん。

ゆくゆくは、冷凍器を増強して一社で取引ロットをまとめ、柔軟かつ迅速に注文に応えられるようにしたいそう。石橋商店の凍結能力は現在200t。コンテナ1本が25トン。コンテナ10本単位での取引が多く、合計250トン。あと50トン増強することが目標です。

「学生のころは、とくに豊漁の年が続いていて、家族は夜中までサバを手で捌き続けていていました。あー、また家にサバが……、と思ったら家に帰りたくなくて、部活を一生懸命やっていましたね。10年単位ぐらいで獲れる魚種が入れ替わる傾向があるのですが、単価の安いカタクチイワシしか獲れないときは、少しでも高い単価で卸すことができるように、外食向けの加工を手掛けたり、いろいろと試行錯誤を続けてきました。今はサバが豊漁で加工用のサバの需要も高く、いい時期だと思います。ですが、息子に引き継いだ後に、またどうなるかわかりません。そのときに乗り越えて行けるように、今、輸出業の安定、ラインの増設などできることをするつもりです。もちろん、地域全体が活性化して若い世代の雇用も生み出していくことが、私たち世代の課題ですよね」

これまでいい時期も悪い時期もあった、と真新しい波崎港を前に話してくれました。
100余年の歴史の上にたつ石橋商店と波崎の未来への礎を、今新たに築いている。
徳久さんの言葉にはそんな力強さがあふれていました。

毎日、徳久さんが買い付けに通う波崎新港。漁港内には波崎漁協組合が2005年に稼働を開始した風力発電施設を設置(漁港内に建つのは日本で唯一)、漁港で使う電力が、地産地消のクリーンエネルギーでまかなわれている

▲ 毎日、徳久さんが買い付けに通う波崎新港。
漁港内には波崎漁協組合が2005年に稼働を開始した風力発電施設を設置(漁港内に建つのは日本で唯一)、
漁港で使う電力が、地産地消のクリーンエネルギーでまかなわれている

株式会社石橋商店〒314-0407 茨城県神栖市波崎8889番地
自社製品:さば、いわしの選別加工、凍結加工

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
TOP